オペラ仮面舞踏会公演(12月7日)

今年の4月にプレミエだったロイヤルオペラの仮面舞踏会の再演を見てきました。
今回は主要な歌手と指揮者が異なるキャストです。

Un ballo in maschera by Giuseppe Verdi
Riccardo: Giuseppe Gipali(ジュゼッペ・ジパリ)
Renato: Dmitri Hvorostovsky(ディミトリ・ホロストフスキー)
Amelia: Nina Stemme(ニーナ・シュテンメ)
Oscar: Patrizia Biccire(パトリチア・ビッチレ)
Samuel: Robert Gleadow(ロバート・グリードウ)
Tom: Matthew Rose(マシュー・ローズ)
Ulrica: Stephanie Blythe(ステファニー・ブライス)
Silvano: Jared Holt(ジャレッド・ホルト)

Conductor: Chaeles Mackerras(チャールズ・マッケラス)
Director: Mario Martone(マリオ・マルトーネ)

『歌手について』
c0057725_23463486.jpgこの公演は既にSardanapalusさんが2回、ロンドンの椿姫さんが1回ご覧になっていて、それぞれ感想を書かれているわけですが、21日の公演でひどい調子だったというニーナ・シュテンメ(写真中)は今日は調子がよかったと思います。高音が豊かな声量ですっきり出ていましたから。心配していただけにうれしいことでした。しかし、第3幕の「Marro, ma prima in grazia」は、4月に聴いたカリタ・マッティラが断然すばらしく、はっきり実力差が出ている感じでした。

初めて聴くジュゼッペ・ジパリ(写真上)もいいテノールでしたから、第2幕の処刑場跡でのシュテンメとの2重唱はなかなか聴き応えがありました。容姿的にはチビコロの部類で(背丈もシュテンメより低いかも)4月に見たアルヴァレスには見劣りするのが気の毒。歌も声もそれほど見劣りしないのですが。

そして、ホロストフスキー(写真下)は第2幕までは難なくいい声を聞かせてくれて、さすが、と思わせる出来だったのですが、第3幕のシュテンメが退場した後の独白が、音程不安定な上に声に迫力がなくがっかりしました。4月に聴いたハンプソンとは比べるべくもない出来で、したがってこの第3幕第1場は極めて欲求不満の高いものになったのは残念です。

その他の歌手では、今回もウルリカはすばらしい歌唱でした。これを歌ったステファニー・ブライスという人は初めてですが、かなり肉付きのいい人です。
オスカーを歌ったパトリチア・ビッチレも初めて聴く人で、いい歌手とは思いますがこの役も4月に歌ったカミーラ・ティリングの方が私は好きです。
暗殺者集団の一人サミュエルを歌ったロバート・グリードウは10月に開催された若手歌手発表会でも注目した人ですが、今回は結構たくさん歌う役を貰ってきちんとそれをこなしていてうれしく思いました。これからもどんどんチャンスをものにしていってもらいたいものです。彼を含めて今回の脇役陣はすべて高水準でした。

『指揮とオーケストラ』
4月公演のパッパーノの指揮も大変よかったのですが、オーケストラのコントロールという点ではヴェテランのマッケラスが一枚上手ですね。オケのアンサンブルも秀逸で、緩急自在にテンポとメロディを決めていく指揮振りはとても心地よく、ヴェルディのすばらしさを余すところなく表現していたと思います。

『その他』
舞踏会の場でリッカルドがレナートに刺し殺されるのですが、逮捕されたレナートを虫の息のリッカルドが釈放するように命じ、アメリアの潔白を証言したうえで、「実は君たち夫婦を生まれ故郷に転勤させるつもりだったんだよ」と上着の胸ポケットから辞令を取り出してレナートに渡すシーンがあるのですが、血だらけの手でポケットを探すもその辞令が、無い!死に掛けのリッカルドさん、結構パニクって必死に探すのですが無いものは無い。仕方ないからそのシーンはカットするのですが、素人目にもポケットに紙切れを入れるのを忘れたことが明白になって苦笑ものでした。誰のミスか知りませんが、こういうこともあるんですね。

舞踏会の場面は、舞台奥の全面鏡が45度傾いて地下の舞踏場を映す仕掛けなのですが、今日の観客はその場面転換に感嘆して大拍手でした。ちなみに、観客の入りは、私が座っている安い席は満席、1階の高い席はかなり空席が目立つ状態でした。写真は、終演後の挨拶をする出演者たちです。
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今回の上演も十分楽しめる水準のものでしたが、4月の歌手陣のすごさを再認識させるものであったことも確かです。
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by dognorah | 2005-12-08 23:49 | オペラ
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