ヴァイオリンリサイタル -10月25日

フィルハーモニア管弦楽団は1968年以来、若くて有望な音楽家のためにMartin Musical Scholarship Fundという基金を設け、随時奨学金を提供しています。過去にこれを受けて大成した人に、Nigel Kennedyなどがいるようです。
本日は、その奨学金を受けているヴァイオリニストのリサイタル。

ヴァイオリン:Thomas Gould
ピアノ:John Reid

c0057725_5451065.jpgトーマス・グールドは、今年Royal Academy of Musicを首席で卒業し、ソロ活動、室内楽、若いオーケストラのコンサートマスターなどを勤めている。すでに欧米各地でリサイタルを開くなど演奏活動は非常に活発である。今回の奨学金以外にもいくつかの奨学金を授与されたので、Postgraduateとして引き続き同大学で腕を磨けるとのこと。

ジョン・リードは、ケンブリッジで音楽学を学んだ後Royal Academy of Musicでピアノ演奏のコースを取り、すでにUK各地でリサイタルも開いている。年齢はトーマスより少し上か。

プログラム
ラヴェル:Sonata posthume (1897)
ストラヴィンスキー:Duo Concertant (1932)
ドビュッシー:Sonate (1917)

このプログラム、実はこのリサイタルの後に公演されるフィルハーモニア管弦楽団の定期演奏会で演奏される作曲家をそのまま持ってきたものです。今夜のテーマは、19世紀の音楽界の主流であった独墺系の音楽に終焉をもたらした偉大な20世紀の3人の作曲家に焦点をあてるというものであったのです。

舞台に登場したグールド君は、一瞬「あれ?今日は女性ヴァイオリニスト?」と惑わせるくらい女性的印象を与える人。190センチぐらいの長身ながら、まだ21-2歳で、紅顔の美少女(?)的風貌がとてもかわいい(写真ではちょっとすましていますが)。ピアニストも比較的なよなよした人です。

演奏は、ものすごい柔らかいタッチで一音一音慈しむように美しい音色を出し、滑らかなフレージングで聴衆を魅了します。先日の本物の美女による男性的演奏と好対照です。ピアノのタッチもそれに合わせた優雅なもの。激しさを要求されるような部分でもアタックは決して強すぎない。それでいてきちんと曲の要求するニュアンスを提示し、内に秘めたエネルギーを強く感じさせる高貴とも言える演奏でした。さすがに多くの団体から奨学金が授与されるだけのことはあります。しばらく演奏スタイルに見入っていましたが、そのうちに曲に没頭して聴き入っている自分を発見。ラヴェルもストラヴィンスキーもなかなか素敵な曲でした。しかし、今夜はドビュッシーに圧倒されました。死の前年に書かれたこの曲、ヴァイオリンだけでなくピアノパートも心を掴む表現で人を鼓舞するようなところがあるのです。心の奥に訴えかけるものが強く印象に残るせいか演奏が終わってからも言いようのない満足感が持続します。

ピアニストといいヴァイオリニストといい、若い有望な演奏家はほんとに数え切れないぐらいいますね。
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by dognorah | 2005-10-27 05:50 | コンサート
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