Open House London(その2)

前の記事の続きです。

イングランド銀行は人気のエントリーで、今年もかなりの行列があり、朝10時に行ったにもかかわらず1時間も並びました。写真撮影禁止なので、外観だけ右に示します。c0057725_955710.jpg
建物を今回初めて認識したのですが、シティのひとつのブロックを完全に占有している大きなビルだということにまずびっくり。1万平米はないでしょうが、でもそれに近い土地を占有しています。地上7階地下3階の構造です。紙幣印刷設備もこの中にあるようです。
1694年設立で、現在の広さは1925年の大改修で確保しています。17世紀の造作は出来る限り保存していますので、内部の部屋はかなり豪華です。もちろんそれはエグゼクティヴたちの部屋だけで一般職員のオフィスはそういうことはないのでしょうけれど。イギリスの公定歩合は毎月一回見直しが行われますが、その会議をする部屋はCommittee Roomと呼ばれ、8角形をした豪華な部屋でした。椅子もかなりの時代物でした。その隣にはすべてのエグゼクティヴが毎週集まって会議をするCourt Roomがあり、ここの壁、床、天井も見事です。絨毯は1939年製ですが全く傷んだという感じはありません。古くてすばらしいデザインのものを日常使用しながらちゃんとオリジナルの美しさを保っているというのがうれしい。これは実はすごく経費がかかります。こういうところに数字には表れない贅沢というか鷹揚さがあり、豊かな社会ということを実感させてくれます。過去の遺産を後々までちゃんと伝えるということに意義を認めていることはその社会の成熟度を現しているのでしょう。ちゃんとやってますよーと一般公開しているわけですね。
中庭も例によってあちこちにありますが、そのひとつは昔教会だったので今でも多くの遺体が地下に眠っているそうです。そのあたりが平気なところはやはり宗教の違いを感じます。
併設の博物館があり、そこは普段誰でも入場できるのですがついでに見てきました。紙幣やコインの歴史など様々な展示がありますが、ひとつ面白かったのはよく映画で見るレンガのような形をした金のブロックの本物がひとつだけ展示してあり、実際に触れることができるのです。これが重くて片手ではなかなか持ち上げられない。約13kgあるそうです。本日のレートで10万ポンド以上の価格であることが表示されていました。1個で2000万円以上するわけです。地下金庫に沢山あるようですが、この建物の地盤の関係で1箇所に積み上げる個数は厳密に制限しているようです。

c0057725_965484.jpg次に訪問したところは、バービカンホールに隣接しているGuildhall School of Music and Drama(左の写真、水辺の地味な建物)ですが、ここはランチタイムコンサートなどでよく卒業生や現役が派遣される学校でかなりレベルの高いところと認識しており、そういう意味でどういう教育をしているのか興味があって訪問しました。音楽大学としてはRoyal Academy of MusicやRoyal College of Musicとともにレベルを競っています。今年創立125年です。
まず、日曜に訪問したにもかかわらず、学生がアクティヴに活動していることに驚きました。聞くと、学校は週に7日開いており、学生は朝7時から夜10時まで練習にいそしんでいるとのこと。この業界は競争が激しいことは十分学生が自覚しているが故と案内の先生は言っていました。学校は名前の通り大きく分けて演劇部門と音楽部門に分かれていますが、オペラ志向の学生にはいい環境と思います。もともとは音楽大学だったのが後から演劇部門が加わったそうです。どういう風に教えるかというソフトの部分は見せるのが難しいせいかあまり説明がなくほとんど学ぶ環境のデモでした。
演劇部門は丁度シェークスピアの「ヴェニスの商人」の舞台稽古をやっていましたがみんな真剣で、台詞の合間に先生が簡潔に注意を与えるので劇の進行はほとんど止まりません。広い稽古場が確保されているのみならず、リハーサル用に舞台装置および美術部門もあり、舞台はFlying tower(手動ですが)併設で、ほぼ本番どおりのリハーサルが出来る環境です。また、衣装部門もあり、必要な衣装は作ってもらえるほか、過去の衣装もすべて保管されてすぐに取り出せるようになっています。
音楽部門はまず、学生が個室で練習できるように8畳くらいの部屋が全部で75室提供されており、すべてグランドピアノが置いてあります。もちろん予約制です。そのほかに小さなアンサンブル用のやや広い部屋が6室、オペラなどを簡単に練習できる中くらいのホールがひとつ、それにコヴェントガーデンの舞台と同じ大きさの舞台がある大ホール(観客席も300くらいある)がひとつあります。
両部門に共通のものとしてすごく充実した図書室があります。台本や楽譜はもちろん、書籍やLP、CD、DVD、VHSなどあらゆる資料がきちんと棚に収められているほか、インターネットでストリーミングを聞くことも出来ます。
私は日本の音楽大学の実情は知りませんが、素人目にも充実した環境で、ここに入ったらまずは自分次第という感じがします。

なお、学生数は数百人で、授業料とCorporate of London(City of Londonの行政府)の補助金および寄付金で運営されています。このCorporate of LondonというのはもともとCityの自治政府でイングランド議会のParliamentよりも古い歴史があります。今では政治的権力はありませんが、伝統はかなり残っており、独自の芸術パトロンとしての活動も盛んなようです。

ということで今年も充実した見学が出来ました。来年がまた楽しみです。
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by dognorah | 2005-09-19 09:14 | 観光
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