グノーのオペラ「ロメオとジュリエット」公演 -9月9日

BYO(British Youth Opera)という団体が毎年開催している公演に、年間50回以上オペラを見るという「ロンドンの椿姫」さんに誘われて行ってきました。彼女の解説によると、このオペラは一流のオペラ歌手を目指して研鑽を積んでいる若い人たちだけで演じられるもので、なかなか聴き応えがあるので応援のために毎年行っているとのこと。いつもはQueen Elizabeth Hallで公演されるところ、現在隣のRoyal Festival Hallが改装中のためマイナーな団体は追い出され、今年はやむなくPeacock Theatreで公演です。でも、ここはちゃんとオーケストラピットがあってかえって良かったかもしれないとのこと。先の記事でイギリスの若手歌手による公演と書きましたが、それは不正確で、イギリスで研鑽を積んでいる若手歌手と言うのが正しいようです。彼らの出身国は世界中に散らばっています。一応パトロンにはチャールズ皇太子の名前があり、プレジデントは有名な歌手であるトーマス・アレン(Sir Thomas Allen)です。
今年の演目は「ロメオとジュリエット」と「コシ・ファン・トゥッテ」の二つでしたが、私たちはロメオを選びました。原語上演の英語字幕付です。

キャスト
ロメオ:Michael McBride
ジュリエット:Anna Leese
キャピュレット卿:Marc Labonnette
ローラン神父:Lukasz Jakobczyk
ティボー:Richard Rowe
ステファーノ:Nicola Stonehouse
指揮:Peter Robinson
管弦楽:Southbank Sinfonia
演出:Olivia Fuchs

キャストはUnderstudyも含めて一般のオペラ劇場と同じだけの裏方さんがいて、恐らく出演者も含めてほとんど手弁当での参加でしょう。オケも40名以上いますし、客の入りは4割程度で(ちょっと広報活動不足の感あり)、入場料だけでは総費用のごく一部しかまかなえないはず。
そういう台所事情ですから、舞台も簡素そのもので、舞台の真ん中に縦割り透明ビニールの幕があって、一応奥の部屋と手前の場面を区別し、バルコニーに相当する狭い2階部分がパイプで構成されています。第4幕で使われるベッドは後半では裏表ひっくり返されて死体置き台になります。
服装は現代のもので、タキシードや背広姿、およびそれにマッチする女性のドレスで、後は観客の想像力に期待です。

さて、歌手の方ですが、経歴を読むと大抵の人は各地のオペラハウスで端役を務めた経験があり、田舎の劇場で主役を張った人もいます。年齢はまちまちですが現在ロンドンの有名音楽大学在籍中の人がほとんどです。一応オーディションを通過しているだけあって、オペラとしてちゃんと楽しめました。うまい!と感心する人もいました。

ロメオは歌がうまく声も良いけど、ふわふわした印象でちょっとパワー不足です。ジュリエットはなかなかの水準で声量もあるし高音もよく伸びています。前半はその高音がやや硬かったのですが後半はそれもなくなって、実力を発揮できたのではと思います。でも、もうちょっと全体に柔らか味がほしいと思いました。平たく言えば美しさがちょっと不足ですね。私が感心した人はローラン神父を歌ったバスのポーランド人。名前をどう発音するのか戸惑いますが、長身で、深く美しい声の持ち主です。もともとバスーン奏者だったのが歌手に転向したようです。後は、ロメオの従者で少年のステファーノを演じたソプラノが印象的でした。最近メゾから転向したそうですが、とても美しい張りのある声はもっと聴きたいと思いました。特筆すべきは合唱で、これはもう既に一流です。考えてみれば、ソロシンガーを目指している人たちの集まりだから当然かも。
管弦楽もずいぶん頑張っていました。指揮者のロビンソンは「ロンドンの椿姫」さんによると頻繁にBBC交響楽団を指揮する映像がTVで流れているそうで、経歴を読むとかなり世界中のオケやいろいろなオペラを指揮しているヴェテランです。今回の2演目とも得意のレパートリーということで、メリハリの効いた演奏で歌手も歌いやすそう。
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全体に好感の持てた公演でしたが、もう少し観客の数がほしいところですね。今日歌った人の中から立派なプロが育つことを期待したいものです。写真は終演後、指揮者を挟んだ出演者たちです。
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by dognorah | 2005-09-10 23:46 | オペラ
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