ロンドンは日曜あたりからまた夏が戻ってきたようで、暑い中またPROMSに行った。
プログラム ワーグナー:さまよえるオランダ人序曲 ベートーベン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 R・シュトラウス:ツァラトゥストゥラはこう語った 演奏 ピアノ:Emanuel Ax 指揮:David Zinman 管弦楽:Tonhalle Orchestra, Zurich 今日はポピュラーな曲が多いせいか8割ぐらいの入り。 デイヴィッド・ジンマン(左の写真の上)は1936年生まれのアメリカ人だが、このスイス最古の管弦楽団の常任指揮者を10年以上務めている。演奏やCD録音に関してはグラミー賞など各種を沢山受けているらしいが、私は先日ちょっと書いたグレツキーの交響曲第3番のCDを持っているぐらいであまり馴染みがない。 オランダ人序曲はちょっとアンサンブルが荒かったけれど、スケールが大きくまあ聴かせる演奏ではあった。 ベートーベンのピアノ協奏曲第3番はなかなかの好演。1949年ポーランド生まれのエマニュエル・アクスというピアニスト(左の写真の下)も馴染みがなくこれが初めての経験である。タッチはあまり鋭くなく、出てくる音のつぶら立ちもあまり感じられないし、ダイナミックさもあまり無いにしても全体に優しくてしっとりとした音楽を奏でる人で、この曲にはぴったりであろう。第1楽章のカデンツァは特に印象的であった。ジンマンはしっかりと彼を支える演奏でむしろオケがメリハリを与えていた。 最後の曲は実演で聴くのは初めてである。編成の大きな管弦楽、各種打楽器群、オルガンと豊富な音を出す役者は揃っており、昔、オーディオシステムをチェックするのにこの曲の冒頭部分を良く使ったのを思い出す。このホールにふさわしい音楽で、パイプオルガンの圧倒的な音響も楽しめる。冒頭部に比べると曲全体としてはむしろ渋い音楽で下手をすると退屈してしまうがジンマンはしっかり緊張を保って聴かせてくれた。 アンコールは、WaltonのCrown Inperial Marchで、あまり魅力的とはいえない音楽であるがイギリス人聴衆へサービスしたものであろう。始まるとすぐ聴衆から反応があった。もうひとつ、ツァラトゥストゥラが派手な出だしに比べて静かに終わる曲なので、景気付けにオルガンも含めて華々しく終わるこの曲を選んだともいえる。写真は拍手に応えるジンマンとトンハレ管弦楽団。
by dognorah
| 2005-08-30 20:17
| コンサート
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Comments(8)
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ja8cte at 2005-08-30 22:39
ジンマンのCDとしては、Rシュトラウスの交響詩全集を持っています。話題になったのは、むしろベートーベン交響曲全集だったような記憶がありますが、私も彼の特質については把握しきれていません。アックスの映像はひとつだけ持っていますが、同じような感触を持ちました。しかし、PROMSは豪華なフェスティバルですね。日本で放映されるのは、ラストコンサートくらいなので、とても参考になりました。
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dognorah at 2005-08-31 07:49
ご~けんさんもほんとにいろいろメディアをお持ちですね。
プロムスはまだまだ行きますのでまたアップしますね。
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at 2005-08-31 18:29
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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dognorah at 2005-08-31 23:43
見ました。恐れ入りました。よくぞここまで!私が少々アップしても、ここかOrfeoさんのところには必ず同じものがありそうですね。
ところで、ご~けんさんもIrfan Viewを使ってWebの写真を構成していますね。私も愛用しています。
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ja8cte at 2005-09-01 01:10
見て頂いてありがとうございました。少し整理したのですが、なかなか目的のものが見つからずに苦労することが多いです。ところでIrfan Viewですが、年賀状のレイアウトから印刷までも、これ一本で行っています。
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dognorah at 2005-09-01 02:54
コレクションの一覧表は出来ても、実物がどこにあるかを探すのは苦労しますね。私が焼いたDVDもジュエルケースに入ったままなので背表紙からは何か判定が付かずという状態です。
Irfan Viewってそんなにいろんなことが出来るのですか!私は画像を見るのに愛用していますが、写真の加工はフォトショップです。
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P.P
at 2006-04-18 12:40
x
はじめまして。たまたまこのブログを見つけました。
アンコールのWaltonの「Crown Inperial March」は、私は好きですよ。確か英国王室(ジョージ6世?)の戴冠式の時につくられた曲で、大聖堂の中を王子が厳かに進むイメージが浮かぶ曲です。英国民の多くも王室を誇りにされていることでしょうし、さらに庶民派の多くの楽曲を手がけたwaltonの作である故に多くの英国民が親しみを持ち受け入れているのではないでしょうか。日本にも曲のファンは多く、吹奏楽でも演奏されることもありますよ。
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dognorah at 2006-04-19 00:14
P.Pさん、はじめまして。この曲がそれほど日本でポピュラーとは知りませんでした。実演では、パイプオルガンが使えるところでないと難しいですから頻度は少ないでしょうけれど。
今後ともよろしくお願いします。
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