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プラシド・ドミンゴ国際オペラ声楽コンクール

オペラの出演者をネットで調べていると、よく上記題名のコンクールで入賞したなんて経歴に出くわすので、過去にどんな人が入賞しているのか調べてみました。
このコンクールは1993年にパリで初めて開催され、そのときはドミンゴ本人が4人の入賞者に賞金総額20万フランを提供したそうです。その後、彼の熱心な働きかけでスポンサーも付いたのでしょう、翌年から毎年異なった場所で開催されてきました。東京でも1997年に開催されていますね。応募資格は30歳未満であることと書いてあります。

1993年から2005年までの入賞者は次の通り。
出所はこちら
1993:(Paris)
Ainhoa Arteta, soprano (Spain)
Inva Mula, soprano (Albania)
Nina Stemme, soprano (Sweden)
Kwangchul Youn, bass (Korea)

1994:(Mexico City)
Simone Alberghini, bass (Italy)
Brian Asawa, countertenor (USA)
José Cura, tenor (Argentina)
Maria Cecilia Diaz, mezzo-soprano (Argentina)
Bruce Fowler, tenor (USA)
Masako Teshima, mezzo-soprano (Japan)

1995:(Madrid)
1) Sung Eun Kim, soprano (Korea);
Miguel Angel Zapater, bass (Spain)
2) Elisabeth Futral, soprano (USA);
Dimitra Theodossiou, soprano (Greece)
3) Carmen Oprisanu, mezzo-soprano (Romania)

1996:(Bordeaux)
1) Lynette Tapia, soprano (USA);
John Osborn, tenor (USA)
2) Phyllis Pancella, mezzo-soprano (USA);
Eric Owens, bass (USA)
3) Carlos Moreno, tenor (Spain);
Vittorio Vitelli, baritone (Italy)

1997:(Tokyo)
1) Carla-Maria Izzo, soprano (Italy);
Liao Chang Yong, baritone (China)
2) Jung Hack Seo, baritone (Korea);
Aquiles Machado, tenor (Venezuela)
3) Xiu Wei Sun, soprano (China)

1998:(Hamburg)
1) Erwin Schrott, bass (Uruguay)
2) Joyce DiDonato, mezzo-soprano (USA);
Ludovic Tezier, baritone (France)
3) Maki Mori, soprano (Japan)

1999:(San Juan)
1) Orlin Anastassov, bass (Bulgaria)
2) Rolando Villazón, tenor (Mexico);
Giuseppe Filianoti, tenor (Italy)
3) Yali Marie Williams, soprano (Puerto Rico)

2000:(Los Angeles)
1) Isabel Bayrakdarian, soprano (Canada)
2) Daniil Shtoda, tenor (Russia);
He Hui, soprano (China)
3) Robert Pomakov, bass (Canada);
Konstyantyn Andreyev, tenor (Ukraine)

2001:(Washington DC)
1) Guang Yang, mezzo-soprano (China)
2) Alessandra Rezza, soprano (Italy);
Hyoung-Kyoo Kang, baritone (Korea)
3) Maya Dashuk, soprano (Russia)

2002:(Paris)
1) Elena Manistina, mezzo-soprano (Russia),
Carmen Giannattasio, soprano (Italy)
2) John Matz, tenor (USA),
Stephane Degout, baritone (France)
3) Maria Fontosh, soprano (Russia)

2003:(Lake Constance)
1) Adriana Damato, soprano (Italy)
2) Giuseppe Gipali, tenor (Albania)
3) Israel Lozano, tenor (Spain),
Jesus Garcia, tenor (USA)

2004:(Los Angeles)
1) Woo Kyung Kim, tenor (South Korea)
2) Nataliya Kovalova, soprano (Ukraine)
3) Dmitry Voropaev, tenor (Russia)

2005:(Madrid)
1) Vasily Ladyuk, baritone (Russia),
Susanna Phillips, soprano (USA)
2) Joseph Kaiser, tenor (Canada),
Diogenes Randes, bass (Brazil)
3) Joshua Langston Hopkins, baritone (Canada),
David Menendez Diaz, baritone (Spain)

この中で私の乏しい知識でも知っている人は、93年のNiena Stemme、94年のJose Cura、98年のJoyce DiDonato、99年のRolando Villazónぐらいか。でも結構大物が出ているので、意義のあるコンクールなのでしょう。どんな分野でもコンクールで入賞してもなかなか芽が出なかったりぽしゃったりする場合が多いでしょうから、ここで入賞している人が舞台に立つにまで至った場合はかなり将来有望といえるわけで、聴いておいたほうがいいだろうと思う次第です。

で、なぜこういうものを調べようという気になったかといえば、来シーズンのロイヤルオペラの演目でダブルキャストが設定されているものがあり、さてどっちの方に行ったらいいものか判断に迷っていて、出演者をwebで検索したらこのコンクールで入賞という情報が得られたためです。その人の名前はGiuseppe Gipaliという2003年に入賞したアルバニア出身のテノールで、「仮面舞踏会」のリッカルド役を歌うことになっています。ダブルキャストのもう一方はRichard Margisonという50代のベテランで写真で見るとパヴァロッティみたいな風貌で、あまり好みの顔ではないので今回はGipaliにしようと思います。

ところで、入賞者の国籍を見てみると、韓国と中国がかなり多いです。将来はこういう人たちが世界のオペラ劇場を席巻するかもしれませんね。ロイヤルオペラでは既に中国人が活躍していますし。
by dognorah | 2005-08-03 22:09 | 音楽 | Comments(16)
Commented by ご~けん at 2005-08-04 16:29 x
私のブログの記事、一番手が森麻季さんでした。彼女がこのコンクールで認められた後の活躍ぶりを見ても、存在感あるコンクールなのかも知れないですね。
Commented by dognorah at 2005-08-04 19:07
98年に3位入賞した方ですね。経歴を読むとまずアメリカのオペラで活躍されたようで、ご~けん さんの感想を読んで、早く欧州にもデビューしてくれないかなーと思いました。
ところで、94年に入賞された手嶋 眞佐子さんは、残念ながら国際的にはあまり活躍していませんね。国内での評判はいかがでしょうか。
Commented by Sardanapalus at 2005-08-06 23:27 x
>Richard Margisonという50代のベテランで写真で見るとパヴァロッティみたいな風貌で、あまり好みの顔ではない
あはは、やっぱり顔は重要ですね。声は良かったですけど、恰幅もよろしかったので、ホロフトフスキーが旦那なのにこの人と浮気するかな?と思っちゃうかもしれません(笑)それでも見た目重視の私が声を聞きに行こうかな~と考えるくらいのいい声ですよ、マージソン。dognorahさんも当日券とかの安い席でどうですか?
Commented by dognorah at 2005-08-07 09:17
こう書きましたが、実は昨年見た「ナキソス島のアリアドネ」で聴いていました。よかったです。Travelexの£10 Mondaysに申し込もうかなとは考えています。
Commented by 助六 at 2005-12-22 11:13 x
改めて目を通して見ましたが、いやーこのコンクールの実績は図抜けてますねー。「ドミンゴ」の名で優秀な人が集まるのか、マネージメント網と直結しているのか、審査委員長を務めているのであろうドミンゴ先生が余程の耳利きなのか…。
比較的知られていないと思われる名前で小生が耳にして注目株と思うのは、97年のAquiles Machado(スタイリッシュなテノール)と00年のDaniil Shtoda(キーロフのメンバー、レンスキーが見事、つい先日聞いたロッシーニ「ランス」はガッカリでしたが)です。仏ではもう有名だけど、02年のStephane Degoutもまだ国際的には知られてないかも。
Commented by dognorah at 2005-12-22 22:05
ドミンゴの息のかかったマネージメント会社はパヴァロッティのそれと共に覇権を競っているそうで、有望な人材が発掘しやすいのかもしれませんね。助六さんの注目株は記憶にとどめておきましょう。といってもまた忘れる可能性が大きいのでメモを作成しないと。
Commented by Bowles at 2005-12-24 11:09 x
はじめまして。いろんなところ経由で(笑)こちらにまいりました。このコンクール、「新人発掘」といっても、まったくの新人ではなく、もうすでにそれなりの劇場で活躍し始めている人たちのもののようなので、その後国際的に活躍することが多いような気がしま
す。98年の1.2位はすごいですね。個人的には、テジエがオリジナルのテルを歌うのを心待ちにしています。マチャードもシュトダも極東の島国ではもう歌っていますが、ちょっと伸び悩みかもしれません。2000年の1位、アルメニア系カナダ人のバイラクダリアン、古楽から現代ものとレパートリーの拾い人ですが、美人です(!)。古楽におけるクレオパトラに関した曲だけを集めたCDはお勧め。助六さんご推薦のドゥグーはラモーやパパゲーノを聴きましたが、古楽が好きな人にとっては、ヤーコプスの(キーンリーサイドの次の)オルフェオとして知られています。今年のCosiでまたファンをふやしたのではないでしようか。それから、話題に上った手嶋眞佐子さんですが、決して悪くはないのですが、どうも地味ですね。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2005-12-24 19:59 x
まだこのコメント欄で名前が出てこない人で私が感心したのは93年のInva Mula(イタリア人かと思っていたのですが、アルバニア人だったとは初めて知りました)。
彼女、ヴェローナでヌッチとリチトラと共演したリゴレットが映像になってますが、私が観たのはROHの椿姫。ここでヴィオレッタは嫌というほど聴きましたが、私が聴いたこの6、7年ではぶっちぎりのベスト。
まあ誰が歌ってもどこかで涙は出るのですが、このときは舞台袖の席だったということもあるでしょうが、上手な歌と演技でたっぷり泣かせてもらいました。

他には、カウンターテノール好みの私は生のBrian Asawaがバービカンに来るというので楽しみにしていたのですが、案の定キャンセルされてがっかり。今はもうあまり名前を見ないのでもう縁が無いかも。カウンターテノールって、偏見かもしれないけど、あまり長持ちしそうにないですしね。
Commented by dognorah at 2005-12-25 07:12
Bowles さん、コメントありがとうございます。ほんとに幅広く歌手を網羅していらっしゃるのですね。挙げられた名前はメモに取っておきます。バイラクダリアンが美人だということも。

>まったくの新人ではなく、もうすでにそれなりの・・・
全くの新人だと書類選考で落とされるのでしょうね。それにしても選考はかなりの耳利きが必要でしょうから、いい審査員が集まっているのでしょう。
こういう競争の激しい世界で、2003年2位というGipaliが既にコヴェントガーデンで主役を歌ったというのはすごいことですね。
手嶋は地味な方なのですか。ご~けんさんがお勧めの森さんの方が華やかさはありそうですね。
Commented by dognorah at 2005-12-25 07:18
ロンドンの椿姫さん、Inva Mula、そんなにいい歌手なのですね。そういわれると聴きたい気持ちが募ります。
カウンターテノールは寿命が短いといわれれば、確かにあまり年寄りは居ませんね。特殊な歌い方だからでしょうか。
Commented by Bowles at 2005-12-25 11:21 x
インヴァ・ムーラは日本では「印旛村の名誉村民(!!)」として有名で、というのは冗談ですが、やはりヴィオレッタを歌って評判になりました。今年パリでゲオルギューの代役で歌ったマグダも放送で聴いただけですが、とってもいい表現をしていましたね。ブライアン・アサワ、活動の基盤が北米大陸なので欧州での活躍は少ないようですが、まだちゃんとGiulio Cesareのトロメオあたりを歌っています。そういえば彼、つい2ヶ月ほど前、新国立劇場のCarmina Buranaのバレエ公演に、あのほんのちょっとのソロのためだけに来日したんですよ。もったいなかった...。ジパーリもたしかアルバニア系だつたと思います。2年ほど前だったでしょうか、ボローニャの『群盗』の初日、予定されていたテノールがキャンセルで、突如彼が登場しました。といっても、これも私はRAIを聴いただけですが。その時は好感の持てる歌だったのですが、その後どうなのでしょう。ロンドンではいかがでした?
Commented by dognorah at 2005-12-25 22:34
Bowlesさんは、実にこまめに放送を聴いていらっしゃるのですね。

>新国立劇場のCarmina Burana・・・
その件はどこかのブログで読んだ記憶がありますが、あの役は本来カウンターテノール用なのでしょうか?同じ頃にロンドンで聴いたコンサートパフォーマンスでは普通のテノールが歌っていました。それにしても1時間に及ぶ曲であのパートの演奏時間は短くて出演者には気の毒です。作曲家は演奏者を消費財と考えているのか、と思うほどです。

ジパリのリッカルドは12月8日の記事に書いていますが、なかなかよかったです。キャリアの少ない割に主役に抜擢されるだけのことはあると思います。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2005-12-26 00:45 x
Carmina Buranaでカウンターテノールが歌うのであれば、メゾソプラノの代りなのではないのですか?彼らは音域が似通っていて、バロックオペラでかつてはカストラータが歌った役を今カウンターテノールが歌ったりメゾソプラノ或いはアルトが歌ったりしますよね。
私は、不気味だと思う人もいるでしょうが、カウンターテノールが大好きで、この頃は良い歌手がたくさんいるので楽しいです。イギリスで一番人気なのはアンドレアス・ショルで、私もファンですが、一番好きなのはカナダ人のダニエル・テイラー。まるで女性が歌っているかのような優しい声は和みます。

Bowlesさんはほんとうによくご存知ですね。また色々教えて下さい。
Commented by Bowles at 2005-12-26 06:33 x
dognorahさん

>実にこまめに放送を聴いていらっしゃるのですね。

いや、自分に興味のある曲の時、あるいは演奏家の時だけです(笑)。iPodに入れて、持ち歩いています。

>あの役は本来カウンターテノール用なのでしょうか?

本来あの曲のソリストはソプラノ、テノール、そしてバリトンなのですが、録音などでも時折カウンター・テナーが歌うことがありますね、あの丸焼きにされる白鳥のパートは。

ロンドンの椿姫さん

結構古楽が好きなので、カウンター・テナーはよく聴きます。
テイラーはリサイタルしか聴いたことがありませんが、おっしゃるとおり、なかなかたおやかな男性でした(笑)。今年ヴィヴァルディを聴いたツェンチッチのほんとうにすべての音域が均一なのには驚かされました。あまりに良かったのでリサイタルにも出かけたのですが、アンコールで歌われたケルビーノ、言葉の意味づけの巧みさ、感情表現の素晴らしさ、デビュー当時のバルトリ以来のケルビーノを聴いた思いでした。あとはおもにフランスで活躍しているジャルゥスキイ、メータ、デュモーあたり、まだショルのようなうまさはありませんが、注目しています。
Commented by ロンドンの椿姫 at 2005-12-26 07:31 x
Bowlesさん、
そうでした、Carmina Buranaはソロ3人だけですね。間違えてヴェルディのレクイエムの顔ぶれを思い浮かべていたようです。すみません。

ダニエル・テイラーのケルビーノなんてぴったりですね。舞台に出ても充分通用しそうです。女装も似合うに決まってるし。
他のカウンターテノール3人は聞いたことないですが、名前覚えておきます。ありがとうございました。
Commented by Sardanapalus at 2005-12-27 03:46 x
>Stephane Degout
Bowlesさんのコメントで思い出したオルフェオの写真でしか知りませんでしたけど、彼もこのコンクール出身者ですか!けっこう太目の声らしいですが、低音好きとしては注目していきたいですね。来年はモーツァルト・イヤーの影響か、私の苦手なコジばっかり歌うみたいですけど(笑)
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