Mostly Mozart Concert – 7月18日

ロンドンで一番音のいいコンサートホール、バービカンホールでは今月8日から31日までMostly Mozart Festivalというのをやっている。オーケストラはAcademy of St Martin-in-the-fieldsで、文字通りプログラムはほとんどがモーツアルトである。
あまり行く気はなかったのだが、本日のプログラムを見た同居人が、以前TVで見たことがあるピアニストが出ているので行きたいと言う。それがベンジャミン・グロヴナーという13歳の少年で、昨年開催されたBBC主催の若手音楽家コンテストで並み居る青年たちを尻目に優勝し、世間をあっといわせた。そのときは誕生日の関係でまだ11歳。まあ天才なんでしょう。

演奏者は次の通り。
 ヴァイオリン:Renaud Capuçon
 チェロ:Gautier Capuçon
 ピアノ:Benjamin Grosvenor
 指揮:Alexander Briger
 管弦楽:Academy of St Martin-in-the-fields

プログラム
 モーツアルト:「後宮からの誘拐」序曲
 モーツアルト:Sinfonia Concertante
 モーツアルト:ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K415
 ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」

c0057725_1904278.jpgで、お目当てのベンジャミン君、モーツアルトらしい丸い音で大過なく弾ききりました。いい音楽を作っていたけれど、かなりソフトなタッチで時には弱々し過ぎるという印象です。ただ、カデンツアでは結構生き生きと弾いている。今までの経歴を読んでみると、ウイグモアホールでリサイタルをやっているけれど、ひょっとしたらこれが初の協奏曲かも。オケの方ががっちりした構成でがんがん飛ばす演奏だったので余計弱々しさが目立ったかもしれない。拍手でステージに呼び出されること2回であっさりアンコールを弾いてくれた。何の曲か知らないけれど、これで本来の彼の実力を出したのではないかというくらいダイナミックで溌剌とした演奏だった。協奏曲で燃焼し切れなかった鬱憤を独奏曲で晴らした感じです。

本日一番楽しめたのは2曲目の協奏交響曲。独奏者二人は若いフランス人兄弟で、兄が29歳でヴァイオリン、弟が24歳でチェロを弾く。この二人がとてもよく、特に第2楽章などとてもしっとりした雰囲気を出していた。恐らくこの二人が指揮者にかなり注文をつけて音楽を作ったはず。というのは「後宮からの誘拐」序曲にしろ、ピアノ協奏曲にしろ、およそモーツアルトらしからぬテンポの速いしかもベートーベンのようにがっちりした演奏だったのが、この曲ではこれぞモーツアルトと納得できる繊細な響きをたっぷり出していたから。
このBrigerという指揮者、あちこちで招聘されてモーツアルトのオペラを指揮するようだが私にはちょっと疑問。指揮はとてもうまい。オケの実力と相俟って彼は作りたい音楽をちゃんと演奏できたはず。ただ、その音楽がバリバリ飛ばす中味のないものに思えたのだ。ある意味すごく現代受けする指揮かもしれないな、とも思いましたが。彼のスタイルだと、モーツアルトより最後に演奏したハイドンのロンドン交響曲の方が合っている。スケールが大きくダイナミックな演奏で、これは楽しめました。
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by dognorah | 2005-07-18 19:01 | コンサート
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