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テロの犠牲者に捧げるヴェルディのレクイエム –-- 7月13日セントポール大聖堂に於いて

City of London Festivalの終わりを飾るコンサートです(実際はテロの起こった夜のコンサートがすべて中止になったのでそれらを後日開催するものもありますが)。

場所は、先日ブルックナーを聴いたセント・ポール大聖堂です。切符はすべて売り切れていたのですが、キャンセルがあるかもしれないと思って、メシアンのコンサートが7時過ぎに終わった後会場に駆けつけて行列に並びました。20名以上並んでいたと思いますが、幸いにして確保できました。その時点で7時40分。開始までまだ20分あります。出て、近くを見回すとMarks & Spencerがまだ開いていました。サンドイッチと飲み物を求めて店の外のスペースで大急ぎで食べました。これが今夜のディナー。何とか数分前に席に付くことが出来た次第です。座ると隣のサラリーマン風のおじさんが、「おお、ワシが返した切符を買ったようだね。これで確実に返金が保証されたわい」と仰ってました。

コンサート開始にあたって、主催者ならびに演奏者の総意で、今夜のレクイエムは7月7日のテロの犠牲者に捧げる旨アナウンスがあり、全員起立して1分間の黙祷を捧げました。

演奏者
 ソプラノ:Tamar Iveri(グルジア出身)
 メゾソプラノ:Ildikó Komlósi(ハンガリー出身)
 テノール:Stuart Neill(アメリカ出身)
 バス:Orlin Anastassov(ブルガリア出身)
 合唱:London Symphony Chorus
 管弦楽:London Symphony Orchestra
 指揮:Colin Davis
テロの犠牲者に捧げるヴェルディのレクイエム –-- 7月13日セントポール大聖堂に於いて_c0057725_209139.jpg

独奏者は国際色豊かですが、コリン・デーヴィスが集めたのでしょう、4人ともすばらしい出来でした。特に二人の女性歌手の声はこの大聖堂の音響効果と相俟ってうっとりするような響きです。写真は、左上がソプラノ、以下時計回りにメゾソプラノ、テノール、バスの順です。
ロンドンの合唱隊はいつどんな場面でもすごい歌唱を聴かせますが今夜も例外ではありません。そして、コリンデーヴィスはしっかりとオケを統率して陰影に富んだダイナミックな音を醸し出します。私はカラヤン指揮スカラ座管弦楽団のすばらしい演奏を記録したDVDについて記事にしたことがありますが、実演でこの曲を聴くのは初めてです。どんな曲でも実演で聴いてこそ本来の姿を理解できるわけですが、こういうスケールの大きい曲は特にそれを感じます。あの事件の後でこういう場所で聴くと聴く側もことさら感受性が高まっている状態ですし、何よりも演奏する側だって気負い方が違ったでしょう。貴重な体験をしました。
by dognorah | 2005-07-15 20:15 | コンサート | Comments(2)
Commented by 助六 at 2005-07-17 10:04 x
相変わらず、劇場通い、エントリ・アップ共に充実の皆勤ですね!おまけに、コンサート連チャン-チケット・キャンセル待ち-立ち食い簡便ディナーと絵に描いたような「楽友ゲリラ」振り!私も「若い頃は」(!)そうでしたが、もう引退です。
独唱陣の中ではイヴェーリだけ聴いたことがありません。最近ザルツブルク等で好評のようですね。是非一度聴いて見たいと思います。
メシアンの「時の終わり」の後にヴェルディの「レクイエム」という選択は、連続性があると同時に、重苦しさから解放される面もあって、感動も楽しさも倍加しそうですね。
私もベルリンの壁崩壊の翌日に、パリで「フィデリオ」初日を観たことがありましたが、やはり特別な雰囲気でした。
ロンドン響合唱団は、パリ管合唱団同様アマチュア(基本的にノーギャラ)でしょうか?
Commented by dognorah at 2005-07-18 08:30
いえいえ、ヴェルディの切符が最初から取れていたらメシアンは多分行かなかったでしょう。結果としてメシアンのあの音楽を知ったことはすばらしいことでしたが。数々のフリーコンサートを聴いてきてたまにプログラムにあったメシアンがとてもよかったので何かあれば聴きたいと思っていたのも事実ですが。したがってメシアン+ヴェルディは全くの偶然なのですが、仰るとおりの連続性があって、とても音楽的に啓発された夜となりました。苦労して参加し、硬い木の椅子に何時間も座った甲斐があったというものです。
合唱団はアマチュアによって構成されており、ウイーン学友協会合唱団と同じような立場だと理解しています。パリ管合唱団もそうなんですね。
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