人気ブログランキング | 話題のタグを見る

セント・ポール大聖堂でコンサート – 7月4日

セント・ポール大聖堂でコンサート – 7月4日_c0057725_2135662.jpgロンドンのSt. Paul Catheroralでコンサートが開催されたので聴いてきました。
これは現在開催中の芸術祭City of London Festivalの一環です。
ロンドンのシティというのは金融の中心地としてつとに有名ですが、昔はロンドン行政府からも独立して特別自治区として認められていたところです。現在でもその名残で精神的には結構独立したところがあり、このフェスティヴァルのように独自の催し物も開催されます。

セントポール大聖堂はそのシティの中心にある由緒ある寺院です。チャールズ皇太子が最初の結婚をしたときはここで式典が行われ、美しいダイアナ妃とともにTVで世界中に放送された様子を憶えていらっしゃる方も多いでしょう。

さて、今夜のコンサートは次のとおりです。
指揮:Mark Elder
管弦楽:The Hallé
曲目:ブルックナーの交響曲第7番ホ長調

セント・ポール大聖堂でコンサート – 7月4日_c0057725_2151388.jpgThe Halléというオーケストラ(日本ではハルレ管弦楽団といっていたような記憶があります)は1858年にマンチェスターで設立されたイギリス最古の管弦楽団です。過去の演奏家では常任指揮者だったジョン・バルビローリが有名ですね。1996年以来マンチェスターに新しく建てられた立派なホールThe Bridgewater Hall(左の写真、ちょっとサントリーホールに似ていますね)を根拠にしています。

ロンドンでの演奏頻度はそれほど高くないので聴いたのは初めてです。弦も管もとても美しいアンサンブルでした。ただ、この特殊な場所では残響時間が優に5秒を超えますので、音が溶け合うときはより美しくなりますが金管などは高音部が目立つため音が薄っぺらく感じることがありました。低音がたっぷりとするためにはちょっと空間が大きすぎる嫌いがあります。参考までに、オーケストラも聴衆もほぼあの大きなドームの下あたりに位置していまして、私とオーケストラの距離は10数メートルでした。

マーク・エルダーという指揮者はロイヤルオペラではお馴染みですが、普通のコンサートに接するのは初めてです。とても優雅な身のこなしと指揮をする人です。今日の演奏は、第1楽章がやや緊張感に欠ける印象でしたが楽章を追うにつれて調子を上げ、全体としてはとても品位のある美しい仕上げでした。私はこの曲は今年の1月にベルナルト・ハイティンク指揮ロンドン交響楽団で聴いていますが、あの時はハイティンクが体調を崩していたためか今一迫力に欠ける演奏でしたので、今回は満足できる演奏で来てよかったという感じです。第2楽章の前半のアダージョはとても美しく、オルガンのように音が溶け合って夢見心地になります。私から見える範囲で多くの人が幸せそうにこっくりこっくりやっていましたね。

それにしてもここでは特殊音響のせいで演奏する側はやりにくいだろうなと思いました。

この場所で13日にヴェルディのレクイエムが演奏されるのですが、人気のコリン・デーヴィス指揮ロンドン交響楽団なので切符は早々に売切れです。私はキャンセル待ちしますが、あまり見込みはなさそうです。
by dognorah | 2005-07-07 02:24 | コンサート | Comments(22)
Commented by 助六 at 2005-07-07 07:38 x
>現在開催中の芸術祭City of London Festival
これに加えてBBCのProms(ロイヤル・アルバートの音響はどうなのでしょうか?)もある訳ですから、ロンドンの夏の音楽は質量共にすごいですね!暫く前ルモンド紙の批評家がロンドンの夏のレポートを書いて、「これに較べたらパリの夏はチャンチャラ可笑しい、市は何とかしろ」とか書いていたことがありました。小生自身は、夏位は音楽抜きで昼寝でもしたいというのが本音という体タラクですが。

>ロンドンでの演奏頻度はそれほど高くない
パリから出掛けると、英聴衆は大変静かで熱心に見えますが、やはり居眠りですか。パリではブルックナーはよく演奏されるものの、マーラーの大人気に較べ、客席が満員になったのは見たことがありません。(フンメルさん、独は如何ですか?)

>マーク・エルダーという指揮者
99年にバスチーユで「ローエングリン」を振ったことがあり、仏紙の評価はイマイチでしたが、小生はヴァーグナーの旋律的造形をきちんと掴んだ堅固な指揮に大いに感心しました。パリ管に客演した事もありますが、私は逃しました。
Commented by 助六 at 2005-07-07 07:38 x
>ハイティンクが体調を崩していたためか
彼はテクニシャン・タイプではないし、出来不出来が多い気がします。ヴィーン・フィルとのマーラー9番、パリ管との「火の鳥」、先月末の仏国立管とのショスタコーヴィッチ8番などpoeticで見事でした。

>コリン・デーヴィス
彼はバイエルン、ドレスデンと一緒に聴いて今一つ名声を納得出来ない人でしたが、今年1月に仏国立管との「幻想」で途轍もない大演奏をやらかしてくれました。彼もいつの間にかもう77歳ですね。私にとって現代最高のベルリオーズ指揮者は彼とガーディナーという英人2人です。

今日は仏はオリンピックの話題一色でした。失望は大きく、仏一部政治家は「我々はフェア・プレー過ぎた、英のロビー活動は合法スレスレ」などと言っています。某仏政治学者が、「仏は、自分達が良いと思うからと言って、世界もそう思うと考えてはいけない。仏が経済リベラリズムと形容する英政府が、一部英経済界の反対を押して国家強力介入でオリンピックを勝ち取ったのは皮肉」とコメントしていたのを面白く聞きました。
Commented by snow_drop at 2005-07-07 10:09 x
dognorahさん、こんにちは。早速、新居へお越しくださり、ありがとうございます。わあ!dognorahさん、既にステキな別邸をお持ちでいらしたのですね。これからも楽しみに立ち寄らせていただきますね。それから、私は、生のブルックナーは、しばらく聴いていないです。良い演奏だったようで、なにより。ヴェルティのレクイエムも聴けるといいですね。
Commented by dognorah at 2005-07-07 20:25
助六さんこんにちは。確かにロンドンは真夏でもPROMSがあり、私も既に9種類の切符を買いました。パリと違ってみんな集中的にヴァカンスに行かないし、パリほど暑くないということで成り立っているのかもしれません。しかし推進する側はすべて官ではなく民だということをル・モンドの記者は知るべきですね。City of London Festivalでもシティ在住の金融関連会社の多くがスポンサーになっているので成立しています。
ロイヤル・アルバート・ホールは音響的には悪いです。近年、天井に多くの反響版をつけるなどかなり改善されましたが、ホールが大きすぎるのはどうしょうもありません。音のヴォリューム感があまり感じられないのです。唯一の例外は昨春新調されたパイプオルガンで、これはもう圧倒的なヴォリュームで、音の海に浸れます。
Commented by dognorah at 2005-07-07 20:42
ロンドンの聴衆は大陸の方と比べると一般的におとなしいし、感情の表現も控えめですね。かなりいい演奏でもカーテンコールも淡白ですし。ロンドンでもブルックナーよりマーラーの方が人気があると思っています。でもブルックナーの演奏頻度もそれほど低くはないです。今回セント・ポールでの演目がブルックナーだったのは、教会側の希望があったように思います。男色のマーラーより、敬虔なことで知られるブルックナーという選択肢は理解できます。

私もマーク・エルダーのローエングリンをロイヤルオペラで聴きましたがすばらしかったです。2003年のことです。

ハイティンクは上記のブルックナーの3日後に同じオケでマーラーの1番を聴きましたが、私が生涯で聴いたマーラー1番の中では最高のものでした。ブルックナーのときはほんとに体調が悪かったらしく、顔面蒼白で、コンマスが大丈夫か?と気遣っていたくらいですから。
Commented by dognorah at 2005-07-07 20:56
コリン・デーヴィスは過去何度も聴きましたがオペラもコンサートもいつもすばらしい演奏で満足でした。私の好きな指揮者の一人です。ガーディナーは一度だけベートーヴェンの荘厳ミサを聞きましたがあまり感心しませんでした。その後CDでベートーベンの交響曲を全部聴いてみましたが、あのテンポの速さについていけないというところです。ベルリオーズを聴く機会があったら試してみたいと思います。

オリンピックでは誰もがまさかと思っていただけに、ほんとに昨日はロンドン中が浮かれていました。しかし今朝はアル・カイダの大規模テロで多数の死傷者が出、市内の公共交通網がすべて止まり、市民は真っ青です。
Commented by dognorah at 2005-07-07 21:01
snow_drop さん、別邸の方へようこそ。これからはこちらの方でおしゃべりしましょう。ここも先日のメンテナンスであちこち不具合が出て大変だったのですが今はようやく落ち着いています。
Commented by Sardanapalus at 2005-07-07 22:27 x
セント・ポールでコンサートイベントをやっているとは知りませんでした。面白い響きになりそうですね。コリン・デーヴィスのヴェルディ、私も聞きたいです~。キャンセルに並んでみようかな。

記事と関係なくて申し訳ないですが、dognorahさんにはテロの影響はなかったですか?私は今日ロンドンに行く予定だったのですが、電車が動いていなくて強制的にキャンセルです。
Commented by dognorah at 2005-07-07 22:45
キャンセルに並ぶというより時々電話を入れてリターンがないかどうかチェックするということになるようです。
私は今日は外出予定がなかったので影響はありません。しかしBRまで止まっているとは知りませんでした。ウインブルドン地域はバスは動いています。
Commented by hummel_hummel at 2005-07-08 00:07
dognorahさん、こんにちは。
残響のよさはブルックナー演奏ではメリットでしょうが、長すぎだと、ちょっと難しいでしょうね。でもよい7番が聴けたとはうらやましいです。

>客席が満員になったのは見たことがありません。
助六さん、こんにちは。ドイツで聴いたブルックナーはいつも満席でしたが。軽快で洗練されたパリにはブルックナーのオーストリア的田舎臭さは合わないのでしょうか?

ハイティンクは体調不良でしたか。76歳の高齢ですから心配ですね。彼のコンサートでは、ドレスデンでのブル8、VPOとのマーラー3番が、これまでの最良のものの一つです。マーラーの1番よかったようですね!

それにしてもロンドン、昨日のオリンピック開催決定から一転、大変なことになりましたね!お気をつけ下さい。
Commented by dognorah at 2005-07-08 01:43
フンメルさん、コメントありがとうございます。ハイティンクでよい演奏を聴かれていますね。彼の場合は大曲が特に優れているように思います。
ロンドン中心部への外出は十分様子を把握してからにします。でも、コンサートは全部中心部であるんですよね。
Commented by みんなのプロフィール at 2005-07-08 02:15 x
ブログ開設おめでとうございます!

アクセス数を上げるために当コミュニティサイトに登録しませんか?
http://profile.zmapple.com/cgi-bin/profile.cgi
より多くのひとに貴方のブログを見てもらえます。

参加するにはこちらからが便利です
http://profile.zmapple.com/cgi-bin/profile.cgi?mode=edit&title=By%20The%20Thames&address=http%3A%2F%2Fdognorah%2Eexblog%2Ejp%2F


お問い合わせはコチラから
http://profile.zmapple.com/cgi-bin/fmail/cmfmail.cgi
Commented by kalos@muenchen at 2005-07-08 07:08 x
こんばんは。コメントとトラックバックありがとうございました。
ロンドンにお住まいなのですね。実は友人が数人いるので、いこうと思いながら、ついに、海峡を越えずに帰国することになりそうです・・・。
今日はもうやすみますが、週末にでも、またお邪魔します。
Commented by 助六 at 2005-07-08 07:18 x
丁寧なご返事有難うございました。

>推進する側はすべて官ではなく民だということをル・モンドの記者は知るべきですね。
これは成る程と思いました。仏でもメセナの推進は良く言及されるものの、根本的発想が「文化はまず公共体が擁護すべき」ですから、ルモンド記者ならずともいきなり「民活」を口にしたら、何処からか反発が来ると思います。仏では「公共サービス」は聖域視されており、公共だからこそ平等で高質なサービスが確保できるという信念が強固で、欧州憲法もそれ故に否認された形です。
Commented by yurikamome122 at 2005-07-08 07:34
こんばんわ、関係ないことで済みませんが、同時多発テロ、大丈夫ですか?。コメントご返事なさっているところを見ますと、ご無事のようですが。お気を付け下さい。
Commented by dognorah at 2005-07-08 07:46
kalosさん、もう帰国なんですか。残念ですね。ミュンヘンのレポート楽しみにしていましたのに。
Commented by dognorah at 2005-07-08 07:52
助六さん、そういえば欧州では歴史的に文化は時の権力者の庇護を受けて発展してきたのですよね。ドイツでもオペラなど州政府の援助で成り立っているとフンメルさんの記事にもありましたが、そういうことからするとイギリスが特殊なんですね。ところで来週からエクスの音楽祭が始まるようですが、こういったものも公共体主導なのでしょうか?
Commented by dognorah at 2005-07-08 07:55
yurikamomeさん、お気遣いありがとうございます。今回は私たちには何もなかったです。しかしテロは個人レベルではどうしょうもないのであまり気にしないようにしています。日々の無事を祈るのみです。
Commented by 助六 at 2005-07-08 21:12 x
そう言えばヘンデル一座が上演したキングズ・シアターも民間興行師ハイデッガーが経営するもので、英国王は株主の一人に過ぎなかったと言いますね。英は18世紀から芸術興行面でも金融技術が発達していたということでしょうが、結果はヘンデルでさえ、人気が衰えた時には、経営不振で退場を余儀なくされたのも一面の事実でしょうね!
エクスも、オランジュ・アヴィニョン等仏主要フェスティヴァル同様、公共組織で、監督は文化省やエクス市等によって指名されます。今年の総予算は、1630万ユーロで、32%を公共体(内52%は国が負担、残りは市・県・地域が負担)、入場券(オペラの場合195-28ユーロ)収入22%、企業メセナ20%となっています。エクスは「ブルジョワ音楽祭」と言われ補助金比率が低いのが特徴です。03年のエクスは、舞台芸術フリー労働者が手厚い失業手当制度改革に反対するストで、ほぼ全面中止に追い込まれましたが、それによる赤字700万ユーロも公共体が補填した形です。気が遠くなるような話です。
Commented by yurikamome122 at 2005-07-08 21:41
よかったです。安心しました。
Commented by dognorah at 2005-07-09 01:00
助六さん、ヘンデル一座の話は初めて聞きましたが、そういう形態だったのですか!助六さんの博識にはいつも頭が下がります。
エクスもやはり公共体ですか。でもその分聴衆にとっては入場料が安くなっていいですね。特に外国人にとっては普段の税金も払っていないのですから。しかしストによる赤字の補填は納得できない話ですね。
Commented by kalos1974 at 2005-07-09 04:23
こんばんは。さっそくのコメントありがとうございました。ミュンヘン、あと2年くらいいたいんですけど、そんなことをしたら、もどるところがなくなってしまいます(苦笑。
<< ロイヤルオペラの來シーズンへの... ロンドン交響楽団リハーサル –... >>