岡田博美ピアノリサイタル – 6月27日

Wigmore Hallで開催されたリサイタルを聴きました。
プログラムは、
 ベートーベン:ピアノソナタ 嬰ハ短調 Op.27-2 月光
 ベートーベン:ピアノソナタ ハ長調 Op.53 ワルトシュタイン
  (休憩)
 ドビュッシー:エチュード 第1巻と第2巻

c0057725_21192071.jpgすべての曲でとても楽しめました。
月光というポピュラーながらもめったに演奏会では取り上げられない曲、実演を聴いたのは初めてでした。彼の響かせる和音はとても美しく、ゆっくりしたテンポで奏でられる第1楽章から聞き手の心をしっかりと掴みます。第2楽章も含めてかなり短い曲ですがゆっくりしたテンポにもかかわらず更に短く感じてしまい、ああもう終わりかと残念がらせるところがあります。第3楽章の怒涛のような楽想で初めて華麗な指捌きが聴けるわけですがフォルテの各和音がきちんと弾かれながらも荒れ狂う波のよう情景がしっかりと描き出され、苦悩するような心の内面が伝わってきます。

ワルトシュタインは過去に何度か聴いたことはありますが、好きな曲でもあり今回も最初から曲にのめりこむことが出来ました。非常にダイナミックな演奏でありながら情感たっぷりで、しっかりベートーベンを聴いたという満足感が得られました。

最後のドビュッシーは、死の3年前に発表された作品で、これも演奏会で取り上げられるのは珍しいのではないかと思います。私は、内田光子さんが1989年に録音したCDを持っていますが、私の数あるドビュッシーのCDコレクションの中ではかける頻度は少なく、地味な存在ではあります。内田光子さん自身の解説によりますと、この曲はショパンのエチュードとは全く違った目的で書かれたもので、練習曲としてピアニストに供されたと言うよりも、作曲家自身の20世紀音楽の新しい道への練習であったようです。この曲が完成される6年前に発表されたシェーンベルクの作品11の無調音楽に影響されたらしい。
調べてみると岡田さん自身も1997年にこれを録音していますので、もう得意曲のひとつなのでしょう。落ち着いてドビュッシーらしからぬ、しかしどことなくドビュッシーを感じさせる曲であり演奏でした。内田さんによると、この曲は古典的な曲のように左手が右手の伴奏的な動きをするのではなく、左手も右手と同様な難度を要求されるそうですが、もちろんそういうことは微塵も感じさせない演奏でした。

今回初めて存在を知った岡田さんは40代半ばぐらいの年齢と思われますが、落ち着いた演奏態度で安心して音楽に没頭させてくれる人でした。ロンドン在住とのことで今後も聴けるチャンスは多くありそうで楽しみです。
[PR]
by dognorah | 2005-06-28 21:21 | コンサート
<< ロイヤルオペラのランチタイムコ... ウインブルドンテニストーナメン... >>