6月20日から今年のウインブルドンテニストーナメントが始まったので雑感を少し述べてみよう。
今のところ例年になく上天気で、少なくとも今週は日程の消化が捗りそうだ。ちょっと暑すぎる嫌いがあるくらい。これが開催されるテニスコートはなだらかな起伏の中とはいえ谷底にあり、盆地効果でウインブルドンの他地域よりより暑い。私はそこから徒歩10分程度の高台に住んでいるが、体感的に温度は2-3度違う。 さて、この大会、なぜか年々人気が上昇しているようで、なかなか入場が難しい。個人の場合は前売り入場券は前年の12月末までに郵便で申し込んで、ゲットする。売り出す切符の枚数に比べて希望者が多いので切符の割り当てはテニスクラブ側が何らかの方法でやる。抽選とは書いていない。すべてクラブにお任せなのだ。当たったとしても、どの日のどのコートになるか、希望など一切聞いてもらえない。完全なあてがいぶちで、1回戦のこともあれば決勝戦のこともあるようだ。気に食わなければお金の払い込みをしなければいい、というシステムである。 TVで、センターコートのサイドで真ん中辺のいい席がずらっと空席、というのをご覧になったことはないだろうか。実はあれ、企業が接待用に買い占めたものなのだ。接待相手に切符を贈ったけれど、来なかったというやつ。私が企業に勤めていた頃、こういう席を斡旋する会社から顧客用にひとついかがですか?と売り込みをかけられたことがある。数年前だが相場は一席あたり£700(約14万円)。確かクラブ内での食事とワインつき。このテニスクラブ、なかなかの商売熱心なのだ。 私の場合は今年の割り当ては外れた。そういう場合は当日券を求めて行列すればよいのだが、これがまた大変な行列で、午前中に行くと炎天下を延々と1キロ以上並ぶことになるだろう。センターコートなど希望者が多いので切符売り場に到達しても買えないことが多く、大抵は第3コート以下のマイナーコートを自由に見れる切符で我慢することになる。 午後5時を過ぎると切符の値段は下がるので、それを目当てに行列の数は減らない。写真は大会が始まってまだ3日目の22日午後6時ごろ撮ったものである。撮った地点は切符売り場から200メートルくらい離れたところである。丘の上の先は見えないが、確かめたところさらに300メートルは続いていた。 昨年は、前半は雨が多く、試合の消化が捗らず、やむを得ず中日の日曜も急遽試合を決行することになった。その決定は前日だったので、すべての席を先着順で売り出すことになり、大勢の人がセンターコートに入れた。私も地の利を生かし、早朝から行列して簡単にセンターコートに入ることが出来た。フェデラー、ヘンマン、セリーナ・ウイリアムスなどを目の前で見た。フェデラーのテニスを見て感じたことだが、昔東京で見たプロ選手のテニスよりさらに技術的に発展している。スピードと玉のコントロールの度合いが違う。だからローンコートとはいえ最近は昔ほどサーブアンドボレーが通用しない。とにかくそれで彼に魅せられて、今でも応援している。 今年は天気がよすぎる。日曜は通常のごとくゲームはお休みだろうから私に見るチャンスはない。こういうときはTVで我慢だ。BBCはこのイベントには並々ならぬ力を注ぐ。従来のTV放送でも二つのチャンネルを使って同時に二つの試合を中継することもある。しかし、地上波デジタル放送ではもっとサービスがよくて、全時間帯で3つの試合を同時に中継する。テレテキストと連動させて特殊なメニューを表示し、対戦する選手名でその試合を選択できるのだ。これはBBCにとっても便利だ。メジャーな試合二つと、イギリス人選手が登場するマイナーな試合ひとつを組み合わせて、幅広く視聴者の要望に応えることができるというものだ。 女子は私の好きなジュスティーヌ・エナン・アーデンが1回戦で負けてしまってがっかりだ。日本選手も全滅してしまったし。昨年はシャラポアが杉山に勝ってからは彼女を応援していたけれど、今年はもう鼻持ちならないので応援はやめた。あの若さで金を稼ぎすぎてちょっと精神が異常だ。昨日か今日か忘れたが、BBCのインタヴューに出て、インタヴュアーが話している最中に携帯に入ったテキストを見てげらげら笑っている。インタヴュアーも頭にきて「She is a crazy girl!」と毒づいていた。 ウインブルドンでは、ひとつ何とかしてほしいものがある。審判の誤審だ。フレンチオープンはコートの性質上すべての人が納得する判定が可能で、事実疑わしいときは審判がボールの跡を見に行ってから判定している。その大会の後にローンコートの試合だ。余計誤審が目立つ。人間の目での判定など100%正確にはできないことは誰でも知っている。テニスクラブ側が開発したフォールト判定のピーッと鳴るシステムも鳴ったり鳴らなかったりで信頼性は今一だ。ところがBBCの開発したボールの正確な軌跡の映像化でビデオ判定が可能になっているのである。TVでそれを視聴者に披露して誤審の多さを印象付けている。にもかかわらず、主催側はかたくなにそのような技術の採用を拒否している。保守的な日本の大相撲でさえ物言いがつくとビデオでの判定結果が参考にされているのに。ひとつの誤審で一生懸命プレーしていた選手がプッツンしてそれ以降の試合が面白くなくなる例があって、金を出して見ている方はたまらない。
by dognorah
| 2005-06-23 18:37
| テニス
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Comments(5)
はじめまして、テニス大好き・ちぇろ弾きのya-ya-maと申しますm(_ _)m 以前からちょくちょく来させてもらっておりました♪
現地の方の生のレポートなのでとてもおもしろいですね♪エナンが負けてしまったのはとても残念です。フレンチオープンでの圧倒的な強さを見た後だけに、拍子抜け。同じ年に全仏と全英を制した例はあまり多くはないようですねぇ。 それにしてもセンターコートの真ん中の席が14万円ていうのを聞いてびっくりです!Σ(◯o◎;) いつぞやの3大テノールの演奏会より高い気が・・・。 ウィンブルドンのあの機械はクセ者ですよね(苦笑)鳥とかごみが迷い込んできただけで、いきなり“ピー”とか鳴っちゃうし。この判定の件にしろ、いっこうに屋根をつけないことにしろ、やはりお国柄ということなのでしょうかねぇ。。。
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dognorah at 2005-06-25 07:43
ya-ya-ma さん、はじめまして。ブログ拝見しました。素敵なスキンで、内容も同好の士とお見受けしました。今後時々お邪魔させていただきます。ウインブルドンのセンターコートと第1コートは屋根をつけることが決まっていますが、実現までまだ数年かかるみたいです。今日も5時ごろから始まった雷雨で全部中止になりました。
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助六
at 2005-06-25 08:21
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ロラン・ギャロスも1週目週末は気温33度、コート上は38度まで行ったとかで大変でした。
小生は自分で全仏オープンの切符を取ったことはないので実情は知りませんが、会場周辺にはダフ屋がたむろし、当日券も売り切れと断られているところを見ると中々厳しいのでしょう。オペラ(こちらは自分で買っています)で招待客が幕間で帰ったりするのを見ると、本当のファンで入れない人がいるのに勿体ないなと思うので、テニスは格別生に執着がある訳ではない私は、何か後ろめたさを感じます。 試合後に見るエナン・アルデンヌは早口の英仏語が印象的でした。シャラポワは、確かにちょっと気後れしそうな大柄の美人でしたが、その時は特に感じなかったけれど、やはり性格は問題があるのかな。 ロラン・ギャロスも今年の売上げは1億ユーロとかで10年間で3倍に増えたと言いますから巨大ビジネスですね。TV放映権料とスポンサー収入が各々3分の1以上を占め入場券収入は3分の1以下のようですが。
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dognorah at 2005-06-26 02:56
ウインブルドンの場合は切符の入手がかなり制限されているためダフ屋が切符を入手するのはかなり困難で、商売は成立しないと思われます。事実、見たことがありません。郵便申し込みで当たった人がebayに高値で出品する例は結構あります。これも一種のダフ屋と言えなくもありませんね。テニスクラブ側は不正入手の切符での入場お断りといっていますが、チェックのしようがないので入場は出来るでしょう。助六さんはローランギャロスに招待されるのですね。うらやましいことです。
このサイトでは、ウインブルドンの観戦パックの販売をして、多くのテニスファンに喜んでいただいています。今年も既に20名近くの方が6月26日から始る観戦パックにお申込いただいています。1日観戦(1泊付)から完売していなければ何日でも連続で観戦できます。
3泊2日観戦のチャンピオンシップツアーはチャンピオンシップクラブでVIP待遇で観戦までのひと時を過ごせます。 決勝、準決勝をご希望の場合はサイトの中からメールにてお問合せ下さい。今日現在(2月22日)でもまだまだ席は空いています。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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