ロイヤルオペラハウスで現在上演中のものを観てきました。同じプロダクションを実は3年半前(2001年)に一度見たのですが、そのときはクリスティーネ・シェーファーがジルダを歌いました。その公演はタイトルロールのパオロ・ガヴァネルリやマントヴァ公を演じたマルチェロ・アルヴァレスも含めてとてもよかったので、その後何度か行われた再演も無視してきました。ところが、今回、今人気のアンナ・ネトレプコがジルダを歌うというのでもう一度行こうという気になったわけです。
キャスト Rioletto: Paolo Gavanelli Gilda: Anna Netrebko Duke of Mantova: Piotr Beczala Sparafucile: Eric Halfvarson Maddarena: Marina Domashenko Giovanna: Elizabeth Sikora Monterone: Giovan Battista Parodi Count Ceprano: Graeme Broadbent Marullo: Damian Thantrey Borsa: Rebert Murray Conductor: Edward Downes Director: David McVicar Set Designs: Michael Vale Costume Designs: Tanya McCallin Lighting: Paule Constable Choreography: Leah Hausman 結果は、行って大正解。すばらしい公演でした。特に初めて聴いたアンナ・ネトレプコは深い感銘を受けました。シェーファーももちろんいいのですが、絹のような感じでちょっと線が細い印象がありました。それがネトレプコの場合はビロードのような美声で、最高音部への過程で一部かすれる場面もありましたが朗々と余裕で出し切る感じがとても気持ちよく、うっとりとした次第です。タイプとしては4月19日の記事で紹介した「仮面舞踏会」のアメリア役をやったカリタ・マッティラの声と似ている感じがします。かなりの美形ですが顔立ちがちょっとアジアの血が入っている感じですね。 今回のリゴレット役は私が前回聴いたのと同じガヴァネルリですが、なんか一段とうまくなっている印象を受けました。とても快調に飛ばしていて、第1幕第2場や第2幕最後のジルダとの2重奏は聞き応え十分でした。マントヴァ公のベクザラはハンサム度においてアルヴァレスに譲るものの、より厚みがあってフレキシブルな声で十分対抗できる歌唱です。はっきり前回よりよかった人はマッダレーナ役のマリーナ・ドマシェンコです。容姿が魅力的なのも役柄に説得力があります。第3幕の4重奏はすばらしかった。 しかしキャストを見ているとロシア系の歌手が席巻していますね。オペラ界はテニスと同じ現象か。 ダウンズの指揮ももうお手の物で、劇的でテンポもいいし取るべきところできちんと間を取っているし、ほんとに安心して聞いていられる指揮振りです。 写真はアンコールに応える出演者ですが、第3幕の出演者だけが舞台に出ています。 この日の公演は同時中継で劇場の外にしつらえられた大画面で映され、一般に無料で公開されました。次の写真はそれを見るために集まった人たちで、休憩時間にオペラ座のベランダから撮影したものです。スクリーンはベランダの下にあるのでここには映っていません。これはBPがスポンサーになって実現したもので年に何回か開催されます。
by dognorah
| 2005-06-22 10:04
| オペラ
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Comments(12)
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おさかな♪
at 2005-06-25 01:22
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>アンナ・ネトレプコがジルダを歌う・・・
日本で聴いたら、チケットは高いし(なかなか取れないかもしれないし)、海外の気楽な(?)慣れた雰囲気の中でリラックスして聴けるとは限らないので、現地でナチュラルに実演に触れることができるのは良いなぁと思いました。 オペラ舞台の写真、いつも楽しく拝見しております☆
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dognorah at 2005-06-25 07:56
ロンドンでもオペラのチケットは安くないんですよー(; _ ;) ネトレプコのこと見逃していたので出遅れました。でも何席か余っていてラッキーだったのです。再演でも評判の歌手をすべてウオッチしておかないと悔しい思いをするぞ、ということを今回は認識しました。
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助六
at 2005-06-25 08:19
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ネトレプコ、3年前にサルツブルクでドンナ・アンナを聴きましたが、稀に聞く立派なスピントの声で、スラヴ系歌手にありがちな厚いヴィブラートもなくて好印象を持ちました。当時は売上げの落ちているグラモフォンが強引に押しているとコメントされていましたが。シェファーも美しい歌を歌うけれど、典型的にコロラトゥーラ・レジェロだから、ネトレプコの方がドラマティックな力があってよりヴェルディに相応しいかも知れませんね。何れにせよ2人のジルダをお聴きになれたとは羨ましい限りです。
>ほんとに安心して聞いていられる指揮振り 本当にその通りですね!私ももう15年以上前コヴェント・ガーデンでダウンズ指揮する「マクベス」を聴いたことがありますが、手堅い最良の職人芸に感心させられました。
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dognorah at 2005-06-26 03:22
ネトレプコのドンナ・アンナは数年前にコヴェントガーデンでもやっていたのですが私は聴き逃してしまいました。どうも私は注目するのが遅すぎるようで反省しきりです。声質と演目の相性というのは私にはまだ知らないことが多く、今後いろいろ勉強しなくてはと思っています。またいろいろ教えていただきたくよろしくお願いいたします。
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stmargarets
at 2005-06-27 19:46
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久しぶりにコメントさせていただきます。
私はうっかり7月の分の公演を取ってしまったので、ネトレプコ、見逃してしまいました。でもどうやら私は3年前に彼女がLa Clemenza di Tito でコヴェントガーデン デビューをしたのを観た様です(笑)。あの時はあまりオペラも観たことなかったし、周りのキャストも皆よかったので、注目しませんでした。大失敗!
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dognorah at 2005-06-28 19:27
おお、そうだったんですか。私はその演目さえパスしてしまいましたよ。非常に有名になる前から注目していたんだよー、と言えるようになりたいですね。
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Sardanapalus
at 2005-06-29 10:10
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カルメンと連続で失礼します。同じ日に、記事の最後に触れていらっしゃる無料中継を見て書いた記事がありましたので、またTBさせていただきました。写真を拡大すれば写っていそうです(笑)本当に、ロンドンでもオペラは高いのでタダで見れるなら!と石畳の上で3時間頑張りました。中継でもネトレプコの歌声は凄かったです。
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dognorah at 2005-06-29 20:38
私の方からも両方ともTBさせていただきました。ありがとうございます。そうか、あの中にいらっしゃったんですね!同じロンドン在住のオペラファンが見つかって喜んでいます。今後ともよろしくお願いします。ちなみに、ラ・ボエームは舞台でも見たことがあるのですが、今週ピアッツァに行ってみようかと思っております。
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Sardanapalus
at 2005-06-30 00:43
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実はロンドンじゃなくてコルチェスター@エセックス在住です(^-^;)ロンドンにはしょっちゅう行ってますけど。こちらこそ、よろしくお願いします。私のブログにXML登録させていただきますね。
>今週ピアッツァに行ってみようかと あらら、私は今度(というか明日ですね)はVictoria Parkに行ってみようと思ってるんです。ピアッツァは、キャストが挨拶に来てくれるのは嬉しいですがお尻が痛くなるので(苦笑)
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dognorah at 2005-06-30 08:34
地図で調べましたが結構な距離ですね。私が以前住んでいたヘンリー・オン・テームズやアスコットよりも遠そう。にもかかわらずロンドンでのオペラら鑑賞とは敬服します。Victoria Parkは東側なのでSardanapalusさんにとっては少しは近そうですね。
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Sardanapalus
at 2005-07-02 05:37
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>結構な距離
見た目よりは近くて、電車で1時間弱の距離です。ここからロンドンに通勤している人も多いらしいですよ。 30日は雨模様だったので結局またピアッツァにしちゃいました。マルチェッロ役の歌手をどうしても見たかったんです(笑)dognorahさんは行かれました?
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dognorah at 2005-07-03 19:31
そうか通勤可能圏なんですね。特にシティとか東側なら問題なさそうですね。今回はしくじったのでビッグスクリーンは次のシーズンまでお預けです。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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