上原彩子ピアノリサイタル

6月8日、Wigmore Hallにて開催。
今年3月23日にこの人はロンドン交響楽団とチャイコフスキーの協奏曲をやっているが、ちょうど同じ日に内田光子さんのリサイタルがあって私は行けなかったことを3月24日のブログに書いた。それから3ヶ月足らずでリサイタルを聴くチャンスに恵まれたのはラッキーだった。

今日のプログラムは、
ショパン:24の前奏曲 Op.28
ムソルグスキー:展覧会の絵

c0057725_882847.jpg舞台に登場時はちょっと固い表情でショパンを弾き始める。ゆっくりしたテンポで一音一音大事にするように演奏するも、今一調子が上がらない感じだ。第4番あたりからスムーズになり、どんどん調子が上がって情感豊かになっていく。テクニックもダイナミズムもすごい。第24番ではそれが最大限に発揮され最高潮に達したところでアクシデント!終わる10秒ぐらい前に、なんと高音部の弦が切れたのだ。鋭い金属音が走った。彼女はそのまま最後まで引き切ったが、当然ハンマーが空を打ったところもある。それにもかかわらず演奏はすばらしかった。

ずいぶんピアノのコンサートを聴いてきたがこのようなアクシデントに遭遇したのは初めてだ。弦楽器ではよくあったが。私は楽器のことは無知だが、こういうことはどれぐらいの頻度であるのでしょうか?ちなみにピアノはYAMAHA。控え室にYAMAHAの技術者がいたので、休憩時間にピアノは修理された。技術者が裏に控えているということはアクシデントが起こることは想定済みということか。それならもうひとつ言いたいことがある。私の席は前のほうだったのでピアノはよく見えたが、このピアノがめちゃめちゃに指紋などで汚れているのだ。とても見苦しい。ホール側の責任なのかどうか知らないけれど、メーカーの関係者がそばにいるのなら、表面ぐらいちゃんときれいに拭いておいて欲しかった。本日、YAMAHAにはダブルのマイナスイメージである。

さて、2曲目。これはもうあまりのすばらしさに圧倒された。彼女が史上初めてチャイコフスキーコンクールを制した女性ピアニストたり得た理由がよくわかった。あの細い体でよくまあこんな男勝りのダイナミックな演奏が出来ること。弱音部もとても美しいし。大作、傑作の並んだ展覧会という感じだ。脱帽最敬礼でした。

最後に、生意気なことを言うなと叱られるかもしれないけれど、あえて彼女に注文を。もう国際的舞台は数々踏んだはず、もう少しステージ上での立ち居振る舞いに気を遣っていただきたい。この点は欧州の演奏家は若い人でも、歩き方、表情、挨拶の仕方が優雅な人が多く、見ていて気持ちがいい。そのほうが舞台に立つ人にとっては聴衆とのコミュニケーションを取る上で得なのだ。日本の若い演奏家はこの点がお留守になっている人が多い。
[PR]
by dognorah | 2005-06-09 07:46 | コンサート
<< ソプラノ独唱会 Rebecca Horn展覧会... >>