2012年2月27日、ROHにて。
Antonin Dvorák: Rusalka Directors: Jossi Wieler & Sergio Morabito Conductor: Yannick Nézet-Séguin Rusalka: Camilla Nylund Foreign Princess: Petra Lang Prince: Bryan Hymel Ježibaba: Agnes Zwierko Vodník: Alan Held Huntsman: Daniel Grice§ Gamekeeper: Gyula Orendt Kitchen Boy: Ilse Eerens Wood Nymphs: Anna Devin, Justina Gringyte & Madeleine Pierard Royal Opera Chorus Orchestra of the Royal Opera House ROHでこの演目をやるのは久しぶりらしいです。過去に2回上演した記録が残されていますが、いつなのかは知りません。今回のはザルツブルグの2008年の新作を貰ってきたもので、今日が初日です。私の方はと言えば、このオペラを体験するのはこれが2回目で、前回はグラインドボーンでした。演出は随分違うのは当然としても、今回のは室内楽的な舞台で、グラインドボーンのスペクタクルなグランドオペラを思わせるスケール感は全くありません。演出全体を比べてもどうも納得できないところがままあり、グラインドボーンの方が遙かにいい演出です。大体ルサルカがナイフを腹に突き立てて自殺するというのは原作とも違うし、黒猫のぬいぐるみ姿が出てきたりするのもなんだかねぇ。魔女と黒猫の組み合わせという陳腐な発想が大体いけない。案の定カーテンコールで出てきた演出家には盛大なブーが飛んでいました。猫ついでにいえば、魔女が座っているソファーに本物の黒猫が出演していて驚きました。まるで訓練をしっかり受けたように逃げたり嫌がったりせずに、魔女のちょっかいに反応していたし、最後は猫の脇腹あたりを魔女が何かすると、さっと舞台袖に引っ込みましたし。 歌手の方ですが、ROHデビューのフィンランド人ソプラノ、カミーラ・ニュールントは第1幕ではきれいな声ながらもやや線が細く、「月に寄せる歌」もあまり印象的ではありません。しかし第3幕では声が力強くなり、大満足の歌唱でした。第1幕はセーヴしていたのか、デビューで緊張していたのか。 王子役のアメリカ人テノール、ブライアン・ハイメルは、過去に聴いた「トロイ人」ではよい印象でしたが「カルメン」ではどうもねぇという半々の経験をしていますが、この人も第1幕では声が上滑り的でカルメンに近く、第3幕では力強い歌唱で合格。 外国の王女役、ドイツ人メゾ、ペトラ・ラングはよく声が出ていて、演技も得意の憎まれ役が堂に入っていました。ヴォドニク役のアメリカ人バスバリトン、アラン・ヘルドも立派な歌唱で、気持ちよく聴けました。魔女役のポーランド人メゾ、アグネス・ツヴィールコもなかなかすばらしい。3人の妖精達はすべてROH若手歌手養成コースの人たちですが、皆さんスタイルがいいし上手かった。しかし主要役には一人もチェコ人がいませんね。 指揮者ですが、もう最高!ドヴォルザークの美しく劇的な音楽を余すところ無く伝えてくれた感じです。この人のオペラ指揮を聴くのはは昨年のバーデンバーデンの「ドン・ジョヴァンニ」に次いで2回目ですが両方ともとてもいい印象で、これからの登場も待ち遠しいです。なお、音楽監督のパッパーノは今日は客席にいました。 Camilla Nylund、終演直後の独りカーテンコール Bryan Hymel Agnes Zwierko Alan Held Petra Lang Anna Devin, Madeleine Pierard & Justina Gringyte Yannick Nézet-Séguin
by dognorah
| 2012-02-29 02:13
| オペラ
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Comments(4)
衣装を見ると、なんだか凄まじい雰囲気の『ルサルカ』ですね。。。でも、演出は上滑りっぽいのですね。
歌手は、リリコよりはドラマチックな感じの人たちのようなので、さぞかしドスがきいた歌唱になったでしょうね。 モネでも3月公演は『ルサルカ』で、ステファン・ヘルハイム演出(ルサルカは街娼という設定)なので期待して臨んでたのですが、唯一行けそうなマチネは即売り切れ。毎日リターン・チケットのチェックして、ようやく出てきたと思ったら、その日曜に別の予定が入ってしまいました。モネのはストリーミングで観られるから我慢します。。。
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dognorah at 2012-02-29 21:09
ニュールント(及び他のニンフ達)は結構リリコでしたね。音楽的にはよかったものの、演出も含めて5星をつけている新聞評があるようですが、納得できません。
おやおや結局モネには行けないんですね。それは残念なことでしょう。ルサルカが街娼とは面白そう。
こんばんは。週末に行ってきました。Séguin目当てだったので、音楽は大大満足でした。もっとROHに登場してほしいですね。それにしても、あのプロダクションはイマイチでしたね。なんか、音楽や物語のイメージと全然違っていて、目をつぶって聴いた方がましという批評家が居たらしいですが、ホントに私も同じことを思いました。
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dognorah at 2012-03-07 01:47
かんとくさんもこの演出には不満足なんですね。まわりで訊いてみても嫌いな演出という人の方が多いですね。
今回の演奏がよかったのでヤニックはまた呼ばれるかも知れませんね。期待したいです。
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