Bobby Chenピアノリサイタル

2011年5月30日、ウイグモアホールにて。

Bobby Chen: piano
Programme
Prokofiev: Piano Sonata No. 2 in D minor Op. 14
Schubert: 4 Impromptus D899
Liszt: Études d'exécution transcendante S.139 No. 9 'Ricordanza'
Liszt: Années de pèlerinage, Deuxième année, Italie S.161
a) Sonetto del Petrarca No. 104
b) Après une Lecture du Dante: Fantasia quasi Sonata

マレーシア生まれのボビー・チェンの演奏を聴くのは久しぶりですが、相変わらずすばらしい音楽を作る人です。初めて聴いたのは5年前に開催されたSt James, Piccadillyでのランチタイムコンサートですが、強烈な印象を与えてくれた人なのでずっと名前は覚えていて、他の人のコンサートの時に会場で会って話したこともあります。オペラが好きなんだと言っていたことを覚えています。
今日は5年前のベーゼンドルファーのピアノではなく彼のスポンサーとなっているファチオーリ(Fazioli)です。さすがにスポンサーが用意したピアノだけあって状態はすばらしく、5年前のベーゼンドルファーに拮抗する輝かしい音色でした。
そして彼のピアノのタッチも相変わらずダイレクトに私の胸に入ってくるもので、繊細さと透明感に満ち、高いテクニックに裏付けされたダイナミックな演奏は曲の持つ意図を完全に伝えてくれます。
最初のプロコフィエフの作品は彼が21歳の時に作曲した初期作品ですが、第4楽章辺りに後年の彼の特徴の片鱗が見られるものの全体としては太めの音でロマン派的な印象が感じられます。ボビーの演奏は「ああ、これこれ、この音」と思い出させてくれる美しい音色とわかりやすい解釈でリラックスして聴けます。
シューベルトの4つの即興曲は死の前年に作曲されたポピュラーな名曲で馴染み深いメロディが多々用いられていますが、ボビーの解釈は特にユニークでもないけれどテンポの大胆な変化など交えてとても新鮮でいつも聴いているCDとはまた違った楽しみ方が出来ました。
後半は記念年のリストですがボビーの美しいピアにズムが遺憾なく発揮された息を飲むような演奏が続いて溜息が出ます。特に始めの2曲。最後の「ダンテを読んで」は今年あちこちで何度か聴いているしCDも持っていますが、リストらしい凄い指捌きが要求される激しいパッセージが連続するもののいまいち好きにはなれない曲です。
終了後は大勢がブラヴォーで騒ぎ、隣のおばさんなど金切り声を上げて何度も叫んでいました。何度目かにステージに戻ってきたボビーはアンコールを一曲演奏しました。曲はプロコフィエフのトッカータでしたが、ちょっと諧謔性のあるこの曲に笑いも出ていましたね。
終わってからバックステージに行ってみたらすでに長蛇の列。しばし待ってやっと彼と会話が出来ました。それだけ大勢の客が感銘を受けたということでしょう。客の入りはあまり多くはなかったけれど。帰りは再びホールを通って出口に向かいましたが、ステージ上ではもうピアノの梱包がされていました。凄い早業! 次の予定が詰まっているのでしょう。

Bobby Chen
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by dognorah | 2011-05-31 21:18 | コンサート
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