ピーター・ブルックの魔笛

2011年3月24日、バービカン劇場にて。

C.I.C.T. / Théâtre des Bouffes du Nord
A Magic Flute
By Wolfgang Amadeus Mozart
Freely adapted by Peter Brook, Franck Krawczyk and Marie-Hélène Estienne
Directed by Peter Brook
Lighting Design by Philippe Vialatte

Singers (alternately with): Dima Bawab, Malia Bendi-Merad, Leila Benhamza, Luc Bertin-Hugault, Patrick Bolleire, Jean-Christophe Born, Raphaël Brémard, Thomas Dolié, Antonio Figueroa, Virgile Frannais, Betsabée Haas, Matthew Morris, Agnieszka Slawinska, Adrian Strooper, Jeanne Zaeppfel
Actors William Nadylam, Abdou Ouologuem

Co-produced by C.I.C.T / Théâtre des Bouffes du Nord; Barbican, London; Festival d'Automne à Paris; Attiki Cultural Society, Athens; Musikfest, Bremen; Théâtre de Caen; MC2, Grenoble; Grand Théâtre de Luxembourg; Piccolo Teatro di Milano - Teatro d'Europa; Lincoln Center Festival, New York.
Executive Producer: C.I.C.T. / Théâtre des Bouffes du Nord

ピーター・ブルックの演出といえばずっと前に東京で「カルメンの悲劇」を見たことがありますが、今回の「魔笛」もそれと同様に原作をベースにしているものの内容を自由に変えてかなり別物にしています。題名も原作ではDie Zauberflöteと定冠詞がついていますが、今回のものは不定冠詞になっています。
公演は、台詞はフランス語で歌の部分は元通りドイツ語で、英語字幕付きです。登場人物は夜の女王の3人の侍女、3人の少年、ツァラストロの寺院の弁者(代わりにツァラストロが演じる)、多くの僧侶たちなどが省略されています。パパゲーノは鳥を捕まえるのではなく女を狩る仕事というか趣味にしていることになっています(今までのところ成果はゼロという設定ですが)。音楽はピアノだけで、パパゲーノが持たされる楽器は小さなトライアングル。序曲など当然カットですが肝心の部分は大略原作通りのものがピアノで演奏されます。アリアは例えば夜の女王のものは後半に一回歌われるだけです。
最初にタミーノを追いかけ回す大蛇役は全編を通して出演する俳優で、一種の狂言回し的な振る舞いをし、この劇ではかなり重要な役です。パミーノタミーノもパパゲーノも彼に仕切られている印象が強いです。
舞台はとてもシンプルで、多くの竹の棒に台座をつけて並べてあるだけ。役者たちが場面に応じてそれを動かしてシーンを作っていきます。出演者もまあごく普通の服装で、費用はミニマムでしょう。
出演者たちのやりとりは観客を笑わせる部分が多くて喜劇としてよくまとまっており、歌手もすべてレヴェルの高い歌唱だったし、全体としてはとても楽しめる出来だったのはさすがです。ストーリーとしては後半モノスタトスが夜の女王側に寝返った後彼女を寺院に侵入させたところ、ツァラストロが現れてばれてしまう場面で終わり。そして最後に思いつき程度と思われるオチがあるのですが、件の大蛇役が全員横一列に並んでいる前面に出てきて、腕をくねくねさせたかと思うと空中から魔笛を取り出し、暫くいじった後さっとそれを消してしまうのです。はい、マジック・フルートでござい、ということでしょう。

写真は終了後の舞台。左から、ピアニスト、パパゲーノ、各種雑用係、大蛇、モノスタトス、タミーノ、パミーナ、ツァラストロ。パパゲーナ役は画面からはみ出してしまいました。
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by dognorah | 2011-03-26 03:04 | オペラ
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