リセウの新演出パルシファル

2011年2月20日、バルセロナ、リセウ劇場にて。
Gran Teatre del Liceu
Richard Wagner: Parsifal

Direcció musical : Michael Boder
Direcció d'escena : Claus Guth

Parsifal : Klaus Florian Vogt
Kundry : Anja Kampe
Gurnemanz : Hans-Peter König
Amfortas : Alan Held
Klingsor : JohnWegner
Titurel : Ante Jerkunica
Primera noia flor : Estefanra Perdomo
Segona noia flor / Primer escuder : Ana Puche
Tercera noia flor / Segon escuder : Ines Moraleda
Quarta noia flor : Beatriz Jimenez
Cinquena noia flor : Michelle Marie Cook
Sisena noia flor / Una veu : Nadine Weissmann
Primer cavaller : Vicenç Esteve Madrid
Segon cavaller : Kurt Gysen
Tercer escuder : Antonio Lozano
Quart escuder : Jordi Casanova
Ballarf : Paul Lorenger

パルシファルは過去3回(ROHヴィーンバイロイト)見ていますのでこれが4回目です。

今回の新演出はバイロイトのようなあまり奇をてらうものではないものの、通常とは違った解釈の部分もあってちょっとびっくりしました。例えば、ティトゥレルは通常の演出では居るのか居ないのかわからないくらいの小さな役作りのことが多いのですが、ここでは大変目立つ存在で、アンフォルタスにGrailの儀式を要請するところでは父親としての威厳が示されます。また、最後の場面では皆が新王パルシファルにひれ伏しているときにアンフォルタスが部屋の外に出ると、庭のベンチにクリングゾルが座っており、アンフォルタスを手招きして隣に座らせ、躊躇しながらもお互いに手を握り合うのです。思い起こせば、前奏曲演奏時に聴衆には誰が誰だかわからない状態で舞台の紗幕の向こうに3人の男がテーブルについて話し合っており、そのうちの二人が仲良くするともう一人の男が怒って椅子を蹴って退出する場面があり、仲良くしたのはティトゥレルとアンフォルタス、退出したのはクリングゾルだと後からわかります。まるで親族会議でティトゥレルが後継者にアンフォルタスを選んだのにクリングゾルが怒ったような設定です。幕が上がると場面設定は病院のようで、アンフォルタスや部下の軍人たちが病気やけがの治療を受けています。グルネマンツは牧師で彼らに説教したりしている風。なので、パルシファルも最後は軍服姿です。また第2幕の花の乙女たちのシーンに男性パートナーも付いているというのも変わっています。ここの場面はもっとエロティックにやってほしかった。クリングゾルは槍をパルシファルに向かって投げようとするところではパルシファルの精神力で金縛りに遭い、簡単に槍を取られてしまうのも変わっていますね。だからクリングゾルは死なないわけです。
初日なのでカーテンコールでは演出家も出てきましたが盛大なブーを浴びていました。気に入らない人には我慢ならない演出だったんでしょう。私は新鮮で面白いと思いました。舞台装置もなかなかのもので回転舞台を使って4種類の場面を素早く切り替えていました。二階建ての建物自体もしっかりと作られています。

歌手ですが、すべて大変立派な歌唱でした。特にグルネマンツを歌ったハンス=ペーター・ケーニッヒは立派でした。過去に聴いた中では最高のグルネマンツです。この人は今まで数回聴いていますが、いつもよい印象を与えてくれる実力バスですね。
題名役のクラウス・フローリアン・フォークトも彼独特の透き通るような声がよく出ていて満足です。
アンヤ・カンペのクンドリーもすばらしい歌唱と演技で、第2幕では色気もちゃんと出ていました。
アンフォルタスを歌ったアラン・ヘルトは以前Promsの「神々の黄昏」で立派なグンター役を聴いたことがありますが、今回も満足すべき歌唱で大満足です。
クリングゾル役もまあまあ、ティトゥレル役も十分な歌唱でした。
合唱はかなり少人数で、第1幕のGrailの儀式ではやや迫力不足と感じました。儀式の最中に場面転換する演出のせいもあって他の劇場では感じた感動がここでは希薄なのはちょっと残念ではあります。

指揮のミヒャエル・ボーダーはロンドンではヘンツェのオペラ「フェドラ」で聴いたことがあるだけですが、今回も不満のない出来で、オケからすばらしい音を引き出していました。テンポは中庸で完全に受け入れられるものです。前奏曲が始まってすぐにヴァーグナーの世界に入れました。

ということで一昨日の「アンナ・ボレナ」に引き続いてとても楽しめた公演でした。
なお、ここリセウでは第1幕終了後も普通に拍手していました。カーテンコールはなかったです。

ところで、「アンナ・ボレナ」は3階席に座り、今回は平戸間後方に座ったのですが、平戸間では前席の背もたれに字幕装置が取り付けられていて、カタルニア語、スペイン語、英語の3種類を切り替えて使えました。これは上の方の安い席にはなかったものです。4年前にここに来たときは舞台上方の字幕投影にカタルニア語とスペイン語だけが提供されていたのが今回はカタルニア語だけになっているところを見ると平戸間の3カ国切り替え字幕は最近つけられたのでしょう。もう少しすれば上方の席にもつけられる可能性もありそうですが、最近の経済情勢では難しいかも知れません。

第2幕終了後の舞台
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Anja Kampe & Klaus Florian Vogt
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第3幕終了後の舞台
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Klaus Florian Vogt
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Alan Held
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Hans-Peter König
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John Wegner & Anja Kampe
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Conductor, Michael Boder
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Stage Director, Claus Guth
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by dognorah | 2011-02-25 02:46 | オペラ
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