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ヘンデルのオペラ「ラダミスト」

2010年10月22日、ENOにて。

イタリア語リブレットを英語に翻訳しているので本来は行かないつもりでしたが切符の大幅バーゲンにつられて見に行きました。

Radamisto by George Friedrich Handel
Libretto adapted from Domenico Lalli's L'amor tirannico, o Zenobia
English translation by Christopher Cowell

Director: David Alden
Conductor: Laurence Cummings

Radamisto: Lawrence Zazzo
Zenobia: Christine Rice
Polissena: Sophie Bevan
Tigrane: Ailish Tynan
Tiridate: Ryan McKinny
Farasmane: Henry Waddington

母音で終わるイタリア語の歌を子音で終わる英語で歌うというのはどうしても無理があると思いますが、管弦楽も歌手もすばらしいし舞台装置はともかく衣装も美しくて大変楽しめたオペラでした。

まず、管弦楽が実にすばらしい音でヘンデルの雰囲気を盛り上げてくれます。明記されている奏者はコンチニュオの人たちだけで、オケについてはは何も書かれていませんが、おそらくここの専属オケが古楽器を弾いていたのでしょう。


歌手もすべて大変よく、各アリアを十分楽しめました。ローレンス・ザゾやクリスティン・ライスはもとより、主役ではないのに歌う場面がとても多いポリッセナ役を歌ったソフィー・ビヴァンもいい声でしたし、ティリダーテ役のアメリカ人テノール、ライアン・マッキニーも力強い歌唱でした。この人はハンサムな容姿もこの役にふさわしいですね。ころころとお太りになったアイリッシュ・タイナンもいつものように軽々と出る最高音部がきれいです。

舞台は例によって簡素な屏風式の装置ですが、衣装はなかなかきれいでドラマの内容に即したものとなっています。ただ、一人ティグラーネ役だけがよれよれの背広にネクタイという出で立ちですが。
ストーリーは他愛ないものですが音楽的には大変楽しめるオペラです。

あらすじ
トラキアの王ファラスマーネの息子ラダミストは愛妻ゼノビアと幸せな結婚生活を送っていたが、隣国アルメニアの王ティリダーテの軍事侵攻を受けて父王とともに囚われの身となってしまう。ティリダーテはラダミストの妹ポリッセナを妻としているにもかかわらず、彼女を追い出してゼノビアを奪おうとする。しかしゼノビアはラダミストを愛しているので靡かず、死を選ぶ決意をする。軍事侵攻ではティリダーテ側についていた(実はポリッセナを愛している)ポントゥスの王子ティグラーネはとてもまともな人で、ラダミストたちを不憫に思って逃亡の手助けをしたり最後には軍事行動でティリダーテを諫める。ラダミストとゼノビアの愛の深さに感動し、またティグラーネの諫めもあって彼は遂に改悛し、トラキアを軍事侵攻前の状態に戻し、妻のポリッセナとも仲直りする。独りティグラーネだけは恋が叶わず。

カーテンコールの写真
Lawrence Zazzo as Radamisto
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Christine Rice as Zenobia and Ailish Tynan as Tigrane
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Ryan McKinny as Tiridate and Sophie Bevan as Polissena
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Lawrence Zazzo and Conductor: Laurence Cummings
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by dognorah | 2010-10-26 20:13 | オペラ | Comments(0)
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