リセウ劇場の「カルメン」ライヴ中継

2010年10月13日、Empire Cinemaにて。

Live from Gran Teatre del Liceu, Barcelona
Carmen: Opéra-comique in four acts
Music: Georges Bizet
Libretto: Henri Meilhac and Ludovic Halévy based on the novel by Prosper Mérimée

Stage director: Calixto Bieito
Conductor: Marc Piollet
Carmen: Béatrice Uria-Monzon
Don José: Roberto Alagna
Micaela: Marina Poplavskaya
Escamillo: Erwin Schrott
Frasquita: Eliana Bayón
Mercédès: Itxaro Mentxaka
Le Dancaire: Marc Canturri
Le Remendado: Francisco Vas
Moralès: Alex Sanmartí
Zuñiga: Josep Ribot

劇場からのライヴ中継というのは最近の流行ですが、バルセロナのリセウ劇場からというのは珍しい(今まで知らなかっただけかな?)ので見に行きました。情報はIntermezzoさんのブログで知ったものです。場所はレスタースクエアのエンパイアという映画館で、中は8つの映画が同時に上映されている規模の大きい映画館です。その中の座席数100程度の小さいスペースでこの映像中継が供されました。観客数は20人足らずでガラガラでした。現地劇場の座席もかなり空席はありましたがそれでも8割は埋まっていたと思います。
入場料は20ポンドなので、20人入っていたとしても映画館の合計収入は400ポンド(約5万2千円)にしかならず、きっと赤字でしょう。ご丁寧にキャストやあらすじを印刷した2ページの紙も用意してくれていました。

演出ですが、近現代の時代設定で、ミカエラが最初に出てくるところでは彼女はカメラ(デジカメではなくフィルムカメラ)を持っていて兵隊などを撮ったりします。そのそばに電話ボックスがあったり。また酒場のシーンでは酒場の代わりにメルセデスベンツの車が舞台に進入して来てその周りで騒ぐ設定です。更にあまり音楽に影響を与えない範囲でシーンのカットが色々あります。たとえば冒頭シーンで衛兵の交代場面はなく、ドン・ジョゼはいつの間にか紛れて登場しているとか、酒場のシーンでもう時間だから出て行ってくれというせりふのところもかっと、第3幕でミカエラを案内する男も登場せずいきなり彼女が舞台に出てきたりします。ジョゼとエスカミーリョのナイフによる決闘はジョゼだけがナイフを持ってエスカミーリョを追い掛け回し、捕まえて刺そうというところでみんなが帰ってくる設定で、ちょっと端折っています。これとは逆に最初から変なおっさんが登場して序曲の終わりごろに「愛は死のようなものだ」みたいな台詞を吐いたりという創作が入っていたりします。このおっさんはこれ以降も各シーンで登場し、更に12-3歳の女の子もしょっちゅう一緒に出てきます。この意味はよく分かりません。また、冒頭のおっさんの台詞の時から舞台をトラックよろしくパンツ一枚の男が銃を捧げ持ちながらぐるぐる走っています。その男は兵隊たちがミカエラをからかっている最中に力尽きてばたっと倒れるのですが、これも意味不明。カルメンとジョゼの絡みシーンはかなりエロティックで、逮捕して柱に縛った状態の彼女の足を撫で回しながら唇を這わせたり、彼のために酒場でダンスするシーンでは後半にパンティを脱いで彼のズボンのジッパーを下げて体を重ね合わせる動作など。また第3幕冒頭の間奏曲の時に舞台に出てきた一人の兵士は全裸になって闘牛士の様式を表現した短いダンスを踊ります。この演出家もゲイかもと思いました。しかし全般的に見て元のストーリーには忠実で結構楽しめる舞台でした。

歌手ではカルメン役のベアトリス・ユリア=モンゾンは好演、歌もなかなかよかったです。1963年生まれなのでカルメンにしてはちょっと歳を食っていますが。
また、ロベルト・アラーニャは絶好調、声が輝いていました。カルメンにシャツを脱がされて上半身裸になりましたがおなかはやはりちょっとタプタプという感じです。
エスカミーリョを歌ったエルウィン・シュロットは背広に帽子姿は格好いいのですが、歌の方はいまいち声の豊かさが感じられないもので、あまり感銘しませんでした。
ミカエラ役はマリーナ・ポプラフスカヤ、まあまあですがいつもの通り余りいい歌唱とは思えず。
その他の歌手および合唱はよかったと思います。
管弦楽はまあ水準で、非常に感心したところもありません。
映像としては十分楽しめたので、今後もこういう企画は是非やってほしいのですが、今日の客の入りからするともうないかもしれません。
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by dognorah | 2010-10-15 01:34 | オペラ
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