ザンドナーイのオペラ「フランチェスカ・ダ・リミニ」

2010年7月30日、Opera Holland Parkにて。

Francesca da Rimini (1914)
Music by Riccardo Zandonai (1883 –1944)
Libretto by Tito Ricordi after the play by Gabriele D'Annunzio

Conductor: Phillip Thomas
Director: Martin Lloyd-Evans
City of London Sinfonia

Francesca: Cheryl Barker
Paolo Il Bello: Julian Gavin
Samaritana: Kirstin Sharpin
Giovanni Malatesta de Verrucchio (Gianciotto): Jeffrey Black
Maletestino dall'Occhio: Jeffrey Lloyd Roberts
Ostasio: George von Bergen
Il giullare: Stephen Richardson
Adonella: Madeleine Shaw
Altichiara: Emma Carrington
Biancofiore: Anna Leese
Garsenda: Gail Pearson
Ser Toldo Berardengo: Aled Hall
Smaragdi: Clare Shearer
La voce del prigioniero: Aled Hall
Il torrigiano: William Robert Allenby

リッカルド・ザンドナーイって誰?と最初は思ったものですが、1924年にプッチーニが亡くなった時、未完オペラ「トゥーランドット」の最終幕を誰が引き継いで完成させるかという議論の時に出版社のリコルディ社が推薦した作曲家だったんですね。結局はプッチーニの息子がその案を却下してフランコ・アルファーノが選ばれたのですが、生前のプッチーニも当時イタリア楽壇を牛耳っていたアルトゥーロ・トスカニーニもザンドナーイがいいと思っていたと伝えられています。
ザンドナーイは当時は結構演奏されたオペラ作家ですが、今日ではこの「フランチェスカ・ダ・リミニ」が時たま演奏される程度のようです。DVDでは1984年に製作されたレナータ・スコットとプラシド・ドミンゴ主演のMETのものがあります。他の作品も含めてあまり演奏されないのは作曲家の死後70年に当たる2014年に著作権が切れるのを待っているせいだという説もあります。
私は当然今回初めて実演に接したわけですが、オペラとしては結構楽しめました。音楽は美しいメロディや劇的な要素に満ちているし、アリアもかなり聴かせる内容です。ストーリー的にはやや単純だし、今回の演出は結構血なまぐさいものなのであまり感心しませんでしたが。
歌手ではタイトル・ロールを歌ったチェリル・バーカー(1960年オーストラリア生まれ)は歌は上手いものの華がなく声もあまり好みではありませんが全体としてはまあまあの出来です。脇役の女性歌手陣はお付きの女官たち、小間使い、妹役もすべて上手で大変楽しめました。
男声陣では恋人パオロ役のジュリアン・ガヴィン(1965年オーストラリア生まれ)はちょっと作り過ぎで籠るところもある声ですがこの人も全体としてはまあまあ。1996年にロベルト・アラーニャの代役でドン・カルロ役をROHで歌ったことがあるようですがその後は出演していないようで、私は今回初めて聴きました。
彼の兄のジョヴァンニ役を歌ったバリトンも弟のマレステスティーノ役を歌ったテノールも揃って不満のない歌唱でした。
また、合唱は上手でとてもよかったと思います。
指揮とオーケストラは十分楽しめる音であり演奏でした。
演出ですが、狭い舞台ながら上手くセットをデザインして場面転換を上手くマネージしていたのには感心。ただ、この演出家は他のイギリス人と同様に血が大好きらしく、凄惨な状況を作っているのがちょっと私には違和感がありました。また、最後の場面はネットで調べたあらすじではジョヴァンニは最初にパオロを刺し殺そうとするのを止めに入ったフランチェスカが刺され、倒れかかってきた彼女を抱いて嘆くパオロも刺されることになっていますが(METのDVDでもそうなっています)、ここではなぜか最初にパオロが喉をかき切られて死に、次いでドアの鍵を壊すために使った棍棒でフランチェスカを滅多打ちにして殺すと言う風にしています。

今年は昨年と違ってロンドンは暖かくて、寒い思いをすることなく夕べのひと時を過ごせました。昨年のようなうるさい孔雀の鳴き声はなく、小鳥のさえずりが時たま聞こえる程度で環境もよし。

カーテンコールの写真(クリックで拡大)
Conductor: Phillip Thomas, Cheryl Barker and Jeffrey Black
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Julian Gavin with one of staffs
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Far left: Jeffrey Lloyd Roberts Far right:Anna Leese
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Director: Martin Lloyd-Evans with the conductor
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あらすじ
(第1幕)イタリアのラヴェンナの領主Guido da Polentaは長年の戦争相手であるリミニの領主Malatesta de Verrucchioと和平を結ぶため、娘のフランチェスカをマラテスタ家の長男ジョヴァンニに嫁がせることにした。ところがジョヴァンニはびっこの上顔が醜く、恐らく娘が嫌がるだろうと考えた父はマラテスタ家と相談して美貌の次男パオロを代理人として花嫁を迎えに来させる策略を思いつく。すっかり騙されたフランチェスカは代理人を本当の結婚相手と思ってすぐ惚れこみ、いそいそとリミニに嫁ぐ。
(第2幕)後年、マラテスタ家が他の領主と戦争をしている時に城砦の塔でパオロに再会したフランチェスカは結婚式の時のうらみつらみを言いながらもパオロへの愛が不変であることを自覚し、一方、パオロも実はフランチェスカを愛していることを告白する。そこへ戦いをほぼ勝利で終わらせたジョヴァンニが帰還し、戦功を挙げたパオロを労うと共にフィレンツェへの赴任を申し渡す。
(第3幕)更に後年、フランチェスカが女官たちと春の到来を喜びあっている日の夜にパオロがフィレンツェから帰ってくる。彼は恋しさから直ちにフランチェスカの部屋を訪れ、二人で詩を朗読する。感情が高ぶった二人はその夜抱き合う。
(第4幕)戦争で片目を失ったマラテスタ家の三男マレテスティーノも義姉のフランチェスカに思いを寄せ、ある日彼女に愛を告白して迫る。彼はパオロと彼女の関係を偶然知ってしまい、それもあって彼女に迫ったのだが彼女に冷たくあしらわれてしまい、復讐のためにジョヴァンニに告げ口する。激怒したジョヴァンニは明確な証拠をつかむため彼女の部屋の入り口近くに身を隠す。フランチェスカは女官たちに囲まれて転寝をしていたが悪夢で目を覚ます。女官たちが退室したあと、ランプで信号を送り、パオロを呼び寄せる。そしてベッドで抱きあっている最中にジョヴァンニが激しくドアをたたき、鍵を壊して乱入し二人を殺して幕。
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by dognorah | 2010-08-03 23:47 | オペラ
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