ベルリオーズ「トロイ人」公演

2010年4月4日、Het Muziektheater (Amsterdam)にて。

Les Troyens: Grand opéra en cinq actes
I. La prise de Troie
II. Les Troyens à Carthage
Music and libretto: Hector Berlioz

muzikale leiding: John Nelson
regie: Pierre Audi
orkest: Nederlands Philharmonisch Orkest
koor: Koor van De Nederlandse Opera

Énée: Bryan Hymel
Chorèbe: Jean-François Lapointe
Panthée: Nicolas Testé
Narbal: Alastair Miles
lopas: Greg Warren
Ascagne: Valérie Gabail
Cassandre: Eva-Maria Westbroek
Didon: Yvonne Naef
Anna: Charlotte Hellekant
Hélénus/Hylas: Sébastien Droy
Priam: Christian Tréguier
Un chef grec/1 ère sentinelle: Alexander Vassiliev
Un soldat: Peter Arink
2ème sentinelle: Patrick Schramm
L'ombre d'Hector/Le dieu Mercure: Philippe Fourcade
Sinon: Christopher Gillett
Polyxène: Michaëla Karadjian
Hécube: Danielle Bouthillon
Andromaque: Jennifer Hanna
Astyanax: Steven Fluit, Stijn Koene
Hector /Iarbas: Standish de Vries

二日続けてトロイ関連のオペラを見ることになってしまいました。

運河沿いに建つアムステルダムのオペラ劇場Het Muziektheater
c0057725_7311139.jpg

ネーデルランド・オペラが上演されるMuziektheaterは1988年に建てられたモダンな劇場で、座席数は約1600とのことです。ここもモネ劇場同様今回が初めての訪問です。内部は機能的なつくりで、天井はあまり高くなく星のようにちりばめられた小さな電球による照明です。座席は足の長いオランダ人がゆったりと座れるように前後の間隔がたっぷりと取られていて座ったままでも奥の客が出入りできます。座席配列は直線ではなくゆるい円弧状になっています。今回私が座った席はストールの前から3列目右寄りでしたが円弧状のため前2列は私の前にはなく、ほぼ舞台かぶりつき状態でした。オケピットの仕切りが無く客席フロアからプールのようにストンとピットになっています。転落防止のためか細いロープが上下2本張ってありますが、そのため演奏中はピットの中の様子がよく見えます。私の席からはヴィオラ奏者の譜面が読めてしまいます。インターヴァルに上階の方も見て回りましたが、ほぼ見切り席は無い設計になっていました。
音響はとてもよかったと思いますが、このスケールのオケをフルに鳴らすと歌手の声が霞んでしまう場面が頻繁にありました。余りにもピットに近い私の席の問題かもしれませんが。
舞台は幅も高さも巨大で、パリのバスティーユよりも一回り大きいと思いました。したがってピットの幅も十分あって、このオペラに要求されるハープ5丁などの大編成のオケが悠々と収まっていました。この大きな舞台を生かし切るような舞台装置ならさぞかし見ごたえがあるでしょうが、今回の演出家が使ったものは矩形の巨大柱を何本か横にしたり縦にしたりしただけなのでちょっと寂しいものがありました。横や斜めにしたときは登場人物がその上を歩いて二階建て三階建てのようにして上下の空間を使ってはいましたが必然性はあまり感じられません。ついでに述べると、演出自体のインパクトはあまり無く、やや散漫で、2006年にパリで見たヴェルニッケの演出の方がはるかにすばらしいです。ヴェルニッケはかなりカットしており、今回はほとんどカットなしだったにもかかわらずです。指定されたバレーも挿入されていましたが、この振り付けがヒョットコ踊りとでも形容したくなるような噴飯もので、退屈極まりなくいらいらさせられるものでした。これじゃカットしてくれた方が遥かにいいです。音楽もそれほど素敵じゃないし。ステージ奥の巨大スクリーンには星雲をちりばめたような映像が投射されており、場面に応じて明るさや色が変わって雰囲気を出しているのはなかなかいいです。登場人物の衣装などは古典的でいいのですが、カサンドラ役はアフリカかアメリカインディアンの預言者かと思わせる派手な顔のメークでまったくいただけない。ギリシャ時代にこんなメークをするかねぇと問いたくなります。衣装もダサいし。

歌手ですが、エファ=マリア・ウェストブルックはほぼ期待通りながら、いつもよりはインパクトが少ない気がしました。もともと第1部のカサンドラには印象的な歌唱は用意されていないからかもしれません。第2部のディドンを歌ったイヴォンヌ・ネフは前半ヴィブラートが目立つ美しくない声でがっかりでしたが、だんだんよくなり、第5幕の長大なアリアは大変すばらしいものでした。でも、パリで聴いたポラスキーには及びません。ディドンの妹であるアンナを歌ったシャルロッテ・ヘレカントはあまりよくなく、レヴェル的に一段落ちる印象です。男性歌手では、第1部でコレブを歌ったジャン=フランソワ・ラポイントはよく声が出ていました。第1部、第2部を通じてエネー役を歌ったブライアン・ハイメルはレヴェルの高いテノールでした。歌う時間は短いけれど、イオパス役を歌ったグレッグ・ウオーレンは魅力的な声を持ったいいテノールです。ロンドンでお馴染みのアラステア・マイルズが歌うナルバル役は非常に印象的ではないけれどまあまあというところ。合唱はなかなか上手でした。

指揮者ジョン・ネルソンはアメリカ人で、指揮棒は使いませんが作る音楽はすばらしくて納得のいくものでした。でも全体としては演出と音楽の整合性があまり感じられなくて、オペラから受ける感動は残念ながらあまりありませんでした。

以下、カーテンコールの写真です。初日なので出演者全員が花束をもらっていました。ROHと違って男性にも花束が渡されるんですね。

Énée: Bryan Hymel and Didon: Yvonne Naef
c0057725_7383322.jpg


Anna: Charlotte Hellekant and Cassandre: Eva-Maria Westbroek
c0057725_7391822.jpg


Chorèbe: Jean-François Lapointe
c0057725_7394772.jpg


conductor: John Nelson
c0057725_7404973.jpg


director: Pierre Audi
c0057725_7412720.jpg

[PR]
by dognorah | 2010-04-11 07:54 | オペラ
<< ConTempo Quarte... モネ劇場の「イドメネオ」公演 >>