リンデンの「トリスタンとイゾルデ」公演

2010年3月21日、ベルリン州立歌劇場にて。
Staatsoper unter den Linden, 21 March 2010

Barenboim and Staatskapelle, 背景は巨大なエンジェルの翼
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Tristan und Isolde
Richard Wagner

Musikalische Leitung: Daniel Barenboim
Inszenierung: Harry Kupfer

Tristan: Peter Seiffert
König Marke: René Pape
Isolde: Waltraud Meier
Kurwenal: Roman Trekel
Melot: Reiner Goldberg
Brangäne: Ekaterina Gubanova
Ein Hirt: Florian Hoffmann
Ein Steuermann: Arttu Kataja
Stimme eines jungen Seemanns: Florian Hoffmann

開始前にマイクを持った係員が舞台に登場したので客席からどよめきが・・・
マイヤーは風邪を引いているけれど快方に向かっているので歌いますとのこと。安堵の声と拍手。
始まってみればマイヤーのイゾルデは快調そのもの。一昨年のパリでの公演でも直前に「調子が悪いけれど歌う」とのアナウンスがあって第1幕と第2幕は快調に歌っていたのに第3幕は口パクになってしまった経緯があるので安心はできませんでしたが、今日は最後まで絶好調かと思われる歌唱でした。昨年のミラノでの公演でも第3幕まで全て歌いましたが今回はそのときに勝る調子の良さで、愛の死ではたっぷり泣かせて貰いました。実はイゾルデがトリスタンに会いに来たときは高音がやや掠れ気味で心配したのですが愛の死が始まる頃には調子を取り戻していました。今日の歌唱を見ると彼女のイゾルデはまだまだ行けそうな印象です。今回のシリーズではあと3月28日と4月5日に歌うことになっていますが、来シーズンはチューリッヒで予定されているようです。

トリスタン役のザイフェルトも絶好調でした。彼の同役を聴くのはヴィーン以来 2回目ですが何度でも聴きたくなるすばらしい声で、私的には現在世界最高のトリスタン歌いです。第3幕の長丁場でも全く退屈させない味わい深い歌唱でした。また第2幕のマイヤーとの二重唱の何という美しさ!心がとろけるようでした。

マルケ王を歌ったルネ・パーペは凄い声量で迫力ある歌唱は予想通りながら、マドリードで聴いたときに比べると声そのものがやや分散してぼやけている印象で、マドリードを100点とすると今回は85-90点ぐらいの出来でしょうか。先般の病気による長期欠場の影響がまだ残っているのかも知れません。ということで第3幕のマルケ王の独白はレヴェルは高いものの私的にはやや期待はずれでした。

ブランゲーネ役のエカテリーナ・グバノワとクルヴェナール役のロマン・トレーケルも文句なしの歌唱でした。メルローを歌った歌手はあまり印象的ではないです。

バレンボイム指揮のStaatskapelle Berlinも上手くて唸らせられました。管弦楽の実力は昨日聴いたベルリン・ドイツ・オペラのものより上でしょう。しかしカーテンコールではバレンボイムに対するブラヴォーに混じってかなりはっきりとブーも飛び交っていました。個性的な演奏だけに反発もかなりあるようです。

演出はプレミエから丁度10年になるものです。舞台は全幕を通じてまるで何かを嘆くかのように巨大な天使がうつぶせになっている像が中央に置かれているだけで、場面に応じてそれが水平回転します。あとは光と背景のスクリーンで各場面の情景を表現していますが、具象的なことはほとんど無く観客の想像力を刺激するような方針です。私はこのオペラにふさわしいものと思いました。好きです。
昨年見たミラノでの公演と同様今回も第2幕でトリスタンとイゾルデの逢い引きの場にマルケ王達が乱入するとき、ブランゲーネは悲鳴をあげません。これは演出家の指示ではなくバレンボイムの指示によるカットでしょう。演出家が異なるのに同じ指揮者のもとで起こりましたから。私が気がつかないだけで他にもバレンボイムはいじっているのかも知れません。その辺を気付いている観客がブーを叫んだのかもと思いました。悲鳴が音楽の流れを阻害するとも思えず、なぜカットするのか疑問です。

ともかく、これでこのオペラは8回目の体験ですが総合的に見て今までで最も満足度の高い演奏といえるでしょう。でも、まだまだ聴いていくつもりです。

カーテンコールの写真はクリックで拡大します。
Waltraut Meier
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Peter Seiffert
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René Pape
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Peter Seiffert, Waltraud Meier and Daniel Barenboim
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Daniel Barenboim
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Roman Trekel and Ekaterina Gubanova
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Roman Trekel, Florian Hoffmann, René Pape and Ekaterina Gubanova
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この劇場はまあまあ美しい内装で音響もよく舞台も見やすいものです。座席数は1396席だそうで、これぐらいのこじんまりした劇場は音響的にも視覚的にもいいですね。ただ、私の座った2.Rang最前列は手すりが邪魔でちょっと見難い席でした。これより下の階がいいと思います。今回は各幕とも終了時はブラヴォーの嵐で、ほとんどの客はStanding Ovationをやるため最前列に座っていないとカーテンコールは非常に見難いものになります。
この劇場は今シーズンを最後に3年間閉館して大改装を行うとのことです。閉館中は昨日知り合ったブロガーのgalahadさんによるとシラー劇場を使って公演を続けるそうです。なお、ブロガーでは本日はベルリン中央駅さんにも初対面していろいろお話を聞くことが出来ました。
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by dognorah | 2010-03-26 02:36 | オペラ
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