ヘンデルのオペラ「タメルラーノ」公演

2010年3月5日、ROHにて。
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Tamerlano: Opera in three acts
Music: George Frideric Handel
Libretto: Nicola Francesco Haym

Director: Graham Vick
Conductor: Ivor Bolton
Orchestra of the Age of Enlightenment

Tamerlano: Christianne Stotijn (mozzo-soprano)
Andronico: Sara Mingardo (mozzo-soprano)
Bajazet: Kurt Streit.(tenor)
Asteria: Christine Schäfer (soprano)
Irene: Renata Pokupić (mozzo-soprano)
Leone: Vito Priante (bass)

バヤゼット(Bajazet)役を歌うはずだったドミンゴがキャンセルして一気に熱が覚めた雰囲気ですが、オペラ自体もプロダクションもとても素晴らしくて、特にドミンゴファンでもない私には十分に楽しめました。
まずヘンデルの音楽がとてつもなく美しい。ストーリーから当然の雰囲気になるどうしようもない物悲しさが漂うわけですが、それをイボール・ボルトン指揮のOrchestra of the Age of Enlightenmentが感動的美しさで表現してくれるので長いオペラ(休憩を入れて4時間半)もちっとも長いとは感じないで音楽に没頭できました。ボルトンという人は今まで何度かROHで見ましたがいつも大体バロックオペラを振っているのでこういうのが得意な人なんですね。
Ivor Bolton
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歌手では、ドミンゴの代わりに歌ったクルト・シュトライト(あるいはアメリカ人なのでカート・ストリートとでも読むのでしょうか)はハンサムで演技上手な上、美声とかなりの声量の持ち主で満足すべき出来でした。
Kurt Streit
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しかし、タイトルロールを歌ったクリスティアンネ・ストテインは声はいいものの声量がまるでなく、皇帝としての覇気もないし歌唱も感心する出来ではなかったです。ダンスはまあ頑張っていましたが。
Christianne Stotijn
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アンドロニコを歌ったサラ・ミンガルドとアステリアを歌ったクリスティーネ・シェーファーも声は小さくて地味ですが歌唱はじっくり聴くとまあまあで、第2幕の二重唱など感動的美しさでした。二人とも演技的にはたいしたことがないものの役にふさわしい感情表現が上手かったと思います。
Christine Schäfer and Sara Mingardo
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イレーネ役のレナータ・ポクピッチは声量もあってなかなかの歌唱でした。
レオーネ役のヴィト・プリアンテもハンサムな上、艶と張りのある声が素晴らしい。
Renata Pokupić and Vito Priante
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Sara Mingardo and Renata Pokupić
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演出のグレアム・ヴィックは今までなんどかROHで仕事をしていますが、基本的に様式美を追求する人という印象です。今回はそれがすごく効果的で黒服に白いターバンを巻いた俳優たちが事あるごとに出てきて歌手たちの後ろで歌詞や台詞を補足するがごとく太極拳のような動作をするのですが、カチッと決まっている感じで見るものに感銘を与えます。
タメルラーノやイレーネは何度か色彩豊かな美しい衣装も着ますが舞台装置と衣装は概ね白と黒で統一されていてそれが非常に美しい。このオペラにふさわしい演出と言えるでしょう。最初見てすぐに5年ほど前に見たモーツァルトの「ポント王ミトリダーテ」を思い出しました。様式美の追求の仕方がそっくりで、これがヴィックの特徴となっているのでしょう。
Ivor Bolton and Graham Vick
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なお、この演出は2001年にフィレンツェで公演されたプロダクションを借りてきたものです。2008年のマドリードでも上演され、これはドミンゴが出演していてDVDにもなっています。

私はこの公演を大変楽しみましたが、ヘンデルのオペラに興味が無くてドミンゴが出演するというだけで切符を買った人には退屈だったでしょう。第1幕終了時にはかなりの客が帰り、第2幕終了時には更に大量の客が逃げ出しました。第3幕終了時間が午後11時という事情もあったかも知れませんが。ドミンゴが出演予定の公演は切符が売り切れで、そうでない公演は同じオペラでも大量に切符が売れ残ったという事実は、オペラには元々興味がないお客が大量にいるということで、何だかなぁと思ってしまいます。先日のヴィーンフィルの演奏会でも普段のコンサートでは見ることのない大量の日本人客がいましたが、同様のお話しですね。
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by dognorah | 2010-03-07 11:25 | オペラ
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