ロンドンで能を見る

2009年12月3日、パーセル・ルームにて(マチネー)。

Noh Play at Purcell Room
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広島県を本拠地とする大島能楽堂と、東京とニューヨークで活動している英語創作能の団体Theatre Nohgakuによる共同制作舞台がロンドン、ダブリン、オクスフォード、パリで公演されており、最初の公演地であるロンドンの3回の公演のうちでマチネーに行ってきました。大変な人気で、マチネーの切符しか入手出来なかったのです。会場はサウスバンクの三つのホールの中では最小のPurcell Room(席数367)で、能にはふさわしい大きさの会場ですが、これだけ観覧希望者が多いのであればもっと公演日数を確保して欲しいと思いました。能は東京では見たことがありますが、ロンドンでは「オペラと能の融合」というイヴェントには行ったことがあるものの本格的な能を見るのはこれが初めてです。

演目と出演者
(1)KIYOTSUNE(清經) (日本語上演)
Author: 世阿弥元清 (1363-1443)
Artistic Direction: 大島政允
シテ:Masanobu Oshima/Akira Matsui
ツレ:Richard Emmert/Teruhisa Oshima

(2)PAGODA (英語上演)
Author: Jannette Cheong
Composition and Direction: Richard Emmert
Choreography: Kinue Oshima, Teruhisa Oshima
Costumes: Teruhisa Oshima, Yasue Ito
Masks: Hideta Kitazawa
シテ・ノチシテ:Kinue Oshima
ワキ:Jubilith Moore
ツレ:Elizabeth Dowd
アイ:Lluis Valls
ノチツレ:Teruhisa Oshima

最初に和装のアメリカ人による解説があり、この日本の古典芸能を日本だけにとどめておくにはあまりにも素晴らしすぎるので、自分たちは国際的に広めようと思って英語の創作能を作り、活動してきたという経緯が話された。主宰のRichard Emmertは35年に及ぶ修行を重ねてきたそう。
最初の演目は、ワキが登場するシーンを省いた短縮版でやや物足りないですが、まあ楽しめました。英語のリブレットを買わせて参照する形式ですが、もう少し頑張って英語字幕を投影する形式にすればもっと受け入れられたでしょう。こういう上演に来る客というのはかなり日本の古典芸能に興味があってのことだと思いますが、その後のインターヴァルに帰ってしまったり途中で席を立った客がちらほらいたのは残念です。なお、ダブルキャストのうちどちらが出演したのかは情報がないので不明です。

次の演目はイギリス人の書いた脚本に基づいて創作されたもので、前日に世界初演がなされました。英語はゆっくり発音されるので、これはストーリーはすべての人に理解されたでしょう。日本語でも発音がわかりやすいということもないので言語的にはどちらでもいいのかもしれません。しかし日本人役者とアメリカ人役者では英語でも発声の仕方が異なります。これは講演後の質疑応答でも客から質問が出ていましたが、やはり幼少の頃から訓練を受けた日本人役者の場合は腹の底から搾り出すような発声ができるけれど、外国人の場合は単に喉から声を出すだけで日本人のようには行かないようです。

それにしても、熱心な外国人能ファンが居るというのは驚きで、ここまで公演ができることには大変感心しました。将来もぜひロンドンで公演して欲しいものです。
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by dognorah | 2009-12-07 02:09 | 観劇
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