2009年11月18日、ROHにて。
指揮者と出演者達 Cherevichki: Comic-fantastic opera in four acts Composer: Pyotr Il'yich Tchaikovsky Libretto: Yokov Polonsky amplified by Nikolai Chaev and the composer after Nikolay Gogol’s story “Christmas Eve” Director: Francesca Zambello Set Designer: Mikhail Mokrov Costume Designs: Tatiana Noginova Lighting Designer: Rick Fisher Choreography: Alastair Marriott Conductor: Alexander Polianichko Royal Opera Chorus Orchestra of the Royal Opera House Oxana: Olga Guryakova Vakula: Vsevolod Grivnov Solokha: Larissa Diadkova Chub: Vladimir Matorin The Devil: Maxim Mikhailov Schoolmaster: Viacheslav Voynarovskiy Pan Golova: Alexander Vassiliev Panas: John Upperton His Highness: Sergei Leiferkus Master of Ceremonies: Jeremy White Wood Goblin: Changhan Lim Principal Dancers: Mara Galeazzi, Gary Avis Dancers: Dancers of The Royal Ballet まず、題名について。ロシア語原題のCherevichkiの意味は「可愛い靴」らしいのですが、ROHは内容から意訳して「女帝のスリッパ」としています。しかしここでいう英語のslippersは日本語のスリッパからイメージするものとは異なり、公式パーティのような改まった席でイヴニングドレスと共に履くおしゃれな靴のことです。舞台でも宝石を散りばめた燦然と輝く靴が使われていました。 発表時のチャイコフスキーはこれは自分の最良のオペラと言っているくらいの自信作らしい。もともと1874年に作曲コンクールに応募するために作ったオペラ「鍛冶職人ワクラ」を11年後に大幅に改訂したものです。因みに、その作曲コンクールではこれが優勝演目となってマリンスキー劇場で初演されました。そのときの審査員をしていたリムスキーコルサコフは使われた原作に興味を示して、自身も後にこれに基づいたオペラを作曲しているそうです。 さて、このオペラは恐らくROHで初めて公演する演目と思いますが、今回のプロダクションはとても良くできていて子供から大人まで万人が楽しめるステージとなっています。舞台装置はメルヘン調で丁寧に作られているし、衣装も然り。指揮者と共にロシア人スタッフです。歌手達も主要役は全てロシア人で固められています。チャイコフスキーのバレー音楽を思わせる管弦楽も美しいし、アリアもたっぷり、それに加えてバレーシーンが結構あり、おまけにコサックダンスのシーンまであってentertainment性は盛大。 歌手の出来など詳しいことは、本番を見たときに書くことにして、ストーリーのあらすじだけ紹介しておきましょう。 Olga Guryakova & Vsevolod Grivnov Mara Galeazzi and dancers あらすじ ウクライナの鍛冶職人ワクラには同じ村に住むオクサナという恋人がいて、結婚したいと思っているが彼女自身もワクラを好きなくせに態度はいまいち煮え切らない。彼の母親ソロカは魅力的な寡婦でしかも魔女なので悪魔、村長、校長、オクサナの父親チュブと4人もの男が彼女の家に次から次に押しかけ、彼女はその度に先に訪問していた男を石炭袋に隠す。最後は息子のワクラがかえってきて、家の中に沢山ある石炭袋を始末するために持ち出す。途中でクリスマスイヴの準備で賑わっている広場にさしかかったとき、オクサナは友人が綺麗な靴を履いているのを見て自分も欲しいとワクラにねだる。挙げ句の果てに宮殿にいる女帝が履いているような豪華なものが欲しいと言い出し、皆の前でもしワクラが女帝の靴を手に入れてくれたら彼と結婚する、と宣言する。そんなことできっこないと意気消沈したワクラは悪魔の入っている袋だけ引きずりながら自殺を考える。川岸に来たときに、水の精から川に引き込まれようとするが、悪魔が袋から出てきて「待て!オクサナと結婚できるように取りはからってやるから、その代わりに魂を俺にくれ」と言って水の精を追い払う。その隙に悪魔の後ろに回り込んだワクラはしっぽを捕まえて悪魔をさんざんいたぶる。悪魔は「言うことは何でも聞くから勘弁してくれ」と言って、ワクラの希望通りサンクトペテルスブルグの宮殿に空を飛んで連れて行く。そこでワクラが粘って無事に女帝の靴を手に入れ、再び悪魔に助けて貰って村に帰る。オクサナにその靴をプレゼントして二人はめでたく結婚する。
by dognorah
| 2009-11-20 03:04
| オペラ
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Comments(10)
あらすじ、ありがとうございます。見つからなかったので助かります。
では、明日の初日にお会いしましょう。楽しみです。
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dognorah at 2009-11-20 07:54
日本語のあらすじは私も見つけられなかったので書いてみました。
明日は皆さんにお会いするのが楽しみです。
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zerbinetta at 2009-11-20 08:43
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dognorah at 2009-11-20 09:46
私は本番を2回見る予定ですがもっと行ってもいいかなと思っているくらいです。リターン券がちょこちょこ出ていますが、最終日はストール席がまだかなりあるようです。
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Sardanapalus
at 2009-11-20 18:28
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きゃ~かわいい!素敵な演出ですね。ROHのウェブページのデザインなどからも、こういうメルヘン調の演出だろうとは想像していましたが、これはぜひ中継だけでなくDVDにして欲しいものです。(今までの作品は全部DVDになっているので大丈夫だと思いますが)
久しぶりにグリヤコヴァの元気そうな姿の写真が見られて嬉しいです。初日レポートもお待ちしています♪
こんばんわ。一幕はとてもつまらなかったですが、後は引き込まれました。バレエ・シーン、涙が出るほど嬉しかったです。
横レスですが。帰宅してすぐ、チケットの状況を確認してみましたが、ほとんど売れ切れていますね。リターンをこまめに確認したほうがいいかと思います。所見でしたので、プログラムを購入しました。今日はカメラは入っていませんでしたが、DVDを発売する予定のようです。
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dognorah at 2009-11-22 00:17
Sardanapalusさん、最後の奥の壁に出てくるこの日の丸模様が一番ダサイもので、これ以外は全てよくできています。こういうものはBBCTVでも放送して欲しいものです。
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dognorah at 2009-11-22 00:23
守屋さん、確かに前半はやや冗長でしたね。指揮者がもう少し頑張って欲しかったです。このオペラは第3幕のバレーシーンと第4幕の女声二重唱が白眉と思いました。バレーは振り付けもよくできていましたよね。
DVDは当然発売すべきと思っていましたが、予定とのことで安心しました。これだけよくできたプロダクションは滅多にないと思います。
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zerbinetta at 2009-11-22 02:35
ううう。今朝見たらチケットが1枚だけ出ていたので、うほっと思いつつあとで買おうと躊躇していたらなくなってた。。。
やっぱり思い立ったら吉日なんですね。でもただいま財政難中。
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dognorah at 2009-11-23 00:49
こまめにチェックしていると安い席のリターンチケットが見つかりますよ。
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ロンドンに在住です。オペラ、バレー、コンサート、美術展などで体験した感動の記憶を記事にし、同好の方と意見を交わしたいと思っています。最新の記事はもちろん、過去の記事でもコメントは大歓迎です。メールはここにお願いします。
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