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ラフマニノフのオペラ「アレコ」公演

2009年7月27日、バーデンバーデン祝祭劇場にて。

Aleko:Opera in one act
Music: Sergei Raphmaninov
Libretto: Vladimir Ivanovich Nemirovich-Danchenko

Conductor: Valery Gergiev
Director: Mariusz Trelinski
Chor und Orchester des Mariinsky-Theaters St. Petersburg

Aleko: John Relyea
Zemfira: Irina Mataeva
Zemfiraの父:Sergey Aleksashkin
若いジプシー(Zemfiraの恋人):Sergey Skorokhodov
老ジプシー女:Elena Vitman

約1時間の短いオペラなので、本日の公演はチャイコフスキーのオペラ「イオランタ」との二本立てです。

あらすじ
砂漠にキャンプを張りながら移動するジプシー集団の中の物語。オペラはあるカップルの結婚式で始まるが、その祝宴の最中でのアレコとゼムフィラ夫婦の挙動はあまり協調的ではなく、夫への当てつけで乱暴に振る舞うゼムフィラのお陰で男達の乱闘へ発展してしまうくらい夫婦の間は冷め切ったものであることが分かる。場面変わって深夜にデートしているゼムフィラと若いジプシー男は次回のデートの約束を交わす。ところがその次回のデートの最中に夫のアレコが現れ、嫉妬のあまり若い男を刺殺してしまう。彼の死を嘆き、夫をなじる彼女に逆上したアレコは彼女も刺殺してしまう。皆が騒ぎを聞きつけて集まった場でゼムフィラの父親が、我々は法律というものを定めていないので例え殺人を犯したとしても罰を与えることは出来ないが、我々はもう殺人者とは共同生活できないので出ていって欲しいと、アレコを追放する。

オペラとしてはあまり面白くない筋ですが、音楽はラフマニノフらしい美しいもので、時には普段よく聴くピアノ協奏曲などではあまり聴かない激しい表現もあってなかなかのものです。歌手は全て聴き応えのある声で、ゼムフィラの父とアレコ役の二人のバスとバスバリトンは大変すばらしいものです。カナダ人のジョン・リライアはロンドンでもお馴染みで過去に何度も聴いていますが、最近では昨年7月の「The Rake’s Progress」のNick Shadow役です。ソプラノのゼムフィラ役はまあまあながら特に優れた歌唱ではありませんが、大根役者振りにはちょっと驚きました。恋人役のテノールもまあまあというところ。
舞台はすさんだ雰囲気を出すためか金網を使った醜いもの(下の写真参照)。
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Irina Mataeva, John Relyea and Sergey Skorokhodov
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余談
この劇場は初めて来ましたが、よく写真やDVDで見る味わい深い正面の建物は事務所とレストランに使われているだけで、劇場自体はその奥にある四角い箱です。
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箱としかいいようがないくらい味気ない建物で、内部もほとんど飾り気のない四角い空間で座席はコの字型に配置されています。天井のシャンデリアはちょっと華やかな気がしますが、これとてよく見ると素っ気ない作りです。
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3層になっていて収容人員は役2500人とのこと。今回私が座った席は3階の正面前から2列目でしたが、ROHでいえばAmphitheatreの前から10列目ぐらいでしょうか、舞台からはとても遠い席です。これで181ユーロは非常に高い。州立劇場ではないので補助金が出ていないのでしょう。
なお、オペラの字幕はドイツ語と英語が2行になって舞台上方に出てきますので知らないオペラでも筋はしっかりと追えます。パリなども見習って欲しいものです。
by dognorah | 2009-07-30 22:08 | オペラ | Comments(0)
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