ヴァーグナー「さまよえるオランダ人」

2009年3月1日、ROHにて。

タイトルロールを歌ったBryn Terfel
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Der fliegende Holländer: Romantische Oper in one act
Music: Richard Wagner
Libretto: Richard Wagner after Heinrich Heine’s Aus den Memoiren des Herren von Schnabelewopski

Director: Tim Albery
Conductor: Marc Albrecht
Der Holländer: Bryn Terfel
Senta: Anja Kampe
Daland: Hans-Peter König
Erik: Torsten Kerl
Mary: Clare Shearer
Steersman: John Tessier

新演出です。船の横っ腹を思わせるようなカーヴで抽象的な面が終始用いられ、舞台前面の左右一杯に水が張ってあって海と関連づけてあります。ダーラントとオランダ人が初対面で話をしている最中にゼンタが模型の帆船を持ってきて水に浮かべますが、彼女のあこがれのオランダ人の象徴として船はそれ以降ずっと使われます。最後はゼンタが模型の船を抱えて倒れたところで幕。無理のない演出で、女性達の働く縫製工場の場面もスマートな仕上げでした。全体に照明が白色系の冷たいもので、彩りは宴会のシーンを除いてほとんどありません。

歌手は、オランダ人を演じたブリン・ターフェルとゼンタ役のアンヤ・カンペが特段すばらしく、感動的な公演でした。主要役では唯一の非ドイツ系歌手であるターフェルはドイツ語発音もクリアで声も声量もすばらしくて大満足の歌唱でした。カンペも終始すばらしい声でオケに拮抗する大きな声量も見事。エリックを歌ったトルシュテン・ケルルも魅力的な声ですが、ちょっと声量が物足りない感じです。今年のグラインドボーンではこの二人でトリスタンとイゾルデをやりますね。ダーラントを歌ったハンス=ピーター・ケーニッヒは昨年のバイロイトでの「リンク」の時ほど完璧ではなくやや不満のある歌唱もありましたが、概ねよかったと思います(勘違いがあったので文章を修正しています)。

指揮のマーク・アルブレヒト(恐らくドイツ人)の作る音楽ですが、序曲は流れが悪く、休止など単に音を止めたという感じで何とも乗れないぎくしゃくさで、これはどうなるのかと心配しましたが、幕が上がると生き返ったかのようなスムーズな運びで結果的には感動に大いに寄与してくれました。

下の写真は左からHans-Peter König、Bryn Terfel、Anja Kampeです。ブリン太の左手にある水仙の花は彼のカーテンコ-ル時にボックス席から投げ込まれたもので、全部水の上に落ちてしまったのをばしゃばしゃと水に入って拾い集めたものです。戻るときに足で水を蹴飛ばしてみんなにぶっかけるという悪ふざけをしていました。
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by dognorah | 2009-03-02 23:00 | オペラ
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