Martynovのオペラ「La Vita Nuova」コンサート形式

2009年2月18日、RFHにて。

La Vita Nuova (New life) - opera in 3 acts (world premiere)
Music: Vladimir Martynov (b1946)
Libretto: Based on “La vita nuova” by Dante Aligheri, adapted by Vladimir Martynov and Edward Boyakov

出演
Vladimir Jurowski
London Philharmonic Orchestra
Europa Chor Akademie

Beatrice: Tatiana Monogarova (soprano)
Dante: Mark Padmore (tenor)
Amor: Marianna Tarasova (mezzo-soprano)
Donna: Joan Rodgers (soprano)
Spirit: James Cameron (treble)
Spirit: Llewellyn Cross (treble)
Spirit: Felix Zadek-Ewing (treble)

13世紀にフィレンツェで生まれたイタリア最大の詩人といわれるダンテは「神曲」で有名ですが、今回のオペラの元になった詩集「新生」は1293年頃に執筆されたもので、内容は片思いの相手ベアトリーチェに対する恋情と賛美で綴られたものらしい。現代ロシアの作曲家マルティノフがそれをもとにリブレットを書き、2008年に作曲したものです。全体を通して演奏するのは今回が初めてなので世界初演としていますが、リブレットに使われている原語はラテン語、イタリア語、ロシア語で、少なくともロシア語は英語に翻訳されて歌われました。英語字幕付きですがラテン語やイタリア語部分は英語をイタリックにして観客にそれと分かるようにしてあります。

オペラということで聴きに行きましたが、内容はオラトリオと呼ぶ方が適切でしょう。ダンテやベアトリーチェの動きはほとんど無く、ダンテは歌唱よりもモノローグを長々としゃべり続ける場面が多いです。3人のボーイソプラノと合唱の出番が多く、ベアトリーチェの歌はそれほど多くはありませんし、他の女声歌手も出番は非常に少ないです。内容は極めて宗教色が強く、夭折したベアトリーチェに絡めて神やキリストに言及する場面が多いです。非キリスト教者にとっては台詞についていくのがやや辛い面もありますが、音楽は古典的で大変美しいのが救いです。そういう中でもベアトリーチェのテーマをピアノの高音部を使って表現したり、チェレスタや打楽器の使い方などにまごう事なき現代音楽を感じるものです。特に第2幕以降はどんどん現代音楽的になり、より面白く感じられます。

コンサート形式ながらRFHのステージで出来る目一杯の工夫はしている感じで、照明装置は各色ふんだんに使い、ステージ後方のスライドドアを開けてパイプオルガンの右側にあるスクリーンに雲の動きを投射したり、煙をもくもく吹き出させたり。オペラも白い衣装の精霊を表す3人のボーイソプラノが客席前方で歌い始めて開始、そのときはユーロフスキーはまだ指揮台横に座っていて、暫くして指揮台に上がるという演出です。従って開始の拍手はなし。また第1幕終了後も暗転してすぐに指揮者も歌手も挨拶なしで引っ込みます。ダンテ以外の歌手は舞台上と合唱席の間を行ったり来たり、合唱隊も左右に動いたり編成を替えたりとしょっちゅう動いています。変わっているのは第3幕終了の時で、独唱者が退出したあと合唱隊が左右に分かれて歌いながら少しずつ歩を進め客席側に移動し客が使うメインのドアから退出していきます。当然歌声はだんだん遠のいて行き、最後は消えるわけです。そして管弦楽もまるでハイドンの告別交響曲のように各自楽器を抱えてちょっとずつ出ていくことで、最後はチェレスタ奏者と打楽器奏者が残り、チェレスタが演奏を終えると一人残った打楽器奏者がシロフォンをちょっと叩いて終わるというもの。

歌手ですが、ダンテ役のマーク・パドモアは長丁場を美しい声で完投、ソプラノのタチアナ・モノガロワもいつもの美声が調子よく、共に楽しめました。他の歌手や合唱もまあまあ。管弦楽は、もうちょっとチェロが頑張って欲しいという場面はありましたが全体的に健闘。こういう作品を敢えて演奏し、ある程度楽しませてくれたユーロフスキーに拍手です。

写真はダンテ役を好演したMark Padmore。いつの間にか坊主頭になっていました。
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次はベアトリーチェ役のTatiana Monogarova
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指揮者Vladimir Jurowskiはちょんまげをやめたみたいです。
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世界初演なのでロンドンにやってきた作曲家Vladimir Martynov
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by dognorah | 2009-02-21 04:02 | オペラ
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