バレンボイム指揮「トリスタンとイゾルデ」公演

2009年2月12日、ミラノ・スカラ座にて。
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Wagner: Tristan und Isolde

指揮:Daniel Barenboim
演出:Patrice Chéreau
Cast
Tristan:Ian Storey
Isolde:Waltraud Meier
Brangäne:Lioba Braun
Kurwenal:Gerd Grochowski
König Marke:Matti Salminen
Melot:Will Hartmann
Ein junger Seemann:Alfredo Nigro
Ein Steuermann:Ernesto Panariello
Ein Hirt:Ryland Davies

初のスカラ座訪問でやっとマイヤーのイゾルデを3幕通して聴くことが出来ました。彼女の調子は完璧ではないにしてもかなりよかったのではと思います。第1幕と第2幕の歌唱は昨年11月のパリの時の方がややよかったという気がしますが。
第3幕は今にも倒れそうによろよろとしながら歌うという演出ですが、それがかなり迫真の演技で、本当に歌の途中で倒れてしまうのじゃないかと気になって歌に集中できませんでした。普通に突っ立って歌って欲しかった。

ウェールズ人テノール、イアン・ストーリーのトリスタンは悪くはないけれど、非常に感心したということもないです。昨年パリで聴いたクリフトン・フォービスの方が好みです。特に第3幕でそう思ってしまいました。声量的にはマイヤーに押され気味。

ブランゲーネを歌ったドイツ人メゾソプラノ、リオバ・ブラウンはなかなかの歌唱でした。ちょっと細めながらよく響く声です。舞台上では老けたメーキャップでしたが40代後半でしょうか。2年前にプロムスでベートーヴェンの第9に出演していましたが、そのときもよい印象を与えてくれました。
クルヴェナールを歌ったドイツ人バリトン、ゲルト・グロチョフスキーもいい声をしていて不満のない歌唱でした。
マルケ王を演じたフィンランド人バス、マッティ・サルミネンは相変わらずすばらしく、貫禄のマルケ王でした。
また、ドイツのテノール、ヴィル・ハートマンの声もよかった。

バレンボイムの指揮するスカラ座管弦楽団の音のすばらしいこと。今回はオーケストラピットが見渡せる3階の席で聴きましたが、9本ものベースが入った大編成のオケは本当に重厚で美しい音色です。上手いオケと思いました。バレンボイムは暗譜で指揮していましたが、普段は椅子に座って指揮し、盛り上げるべきところは椅子から降りて激しい動きでオケを煽っていました。地下の深いところから情念が盛り上がってくるよう情熱的なトリスタンとイゾルデだと思います。

演出は、見たこともないような人間的恋情の発露があってとても納得できるものです。第1幕終盤で二人が狂おしく抱き合い、熱情的なキスを交わし、ほっておけばそのままセックスをしてしまうのではと心配した周りの人達があわてて二人を引き離すシーンなど、とても新鮮です。俳優を沢山使って舞台が賑やかなのもあまり見たことがない演出ですが、それも自然です。ただ全般に舞台装置はオペラの内容に沿っているとも思えずあまり感心できませんが。

(追記)余談ですが、当日平土間の席を見渡すと結構空席があり、インターネット予約解禁日のあの騒ぎはいったい何だったんだろうと思いました。第1幕の休憩が終わって席に戻ると後ろの席の人達は戻ってこず、友人達も2列目で見えないとこぼしていたのが第2幕終了後に聞くと、前列の人が戻ってこなかったので最前列に座ってラッキーと喜んでいました。みんな上から見て狙い定めた空席に移動したのでしょうか。しかし第3幕が始まって驚いたのは、平土間に大量の空席が生じていたこと。イゾルデの愛の死の場面を見ずに帰宅してしまうとは!

トップの写真は第2幕終了後のカーテンコール時のもので、左からIan Storey、Waltraud Meier、Matti Salminen、Lioba Braunです。
次いで、終演時のカーテンコールから、Waltraud Meier。
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Ian Storey。
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Matti Salminen。
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Daniel Barenboim。
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by dognorah | 2009-02-15 20:59 | オペラ
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