アントン・ルビンシュタインのオペラ「悪魔」(コンサート形式)

2009年1月31日、バービカンホールにて。

昨日の「スペードの女王」があまりにもすばらしかったので今日も行く気になって鑑賞したのでした。そして今日も凄かった。

The Demon (1871 – 75)
Music: Anton Rubinstein (1829 – 94)
Libretto: Pavel Viskovatov and Anton Rubinstein, based on Mikhail Lemontov’s narrative poem

Orchestra and Chorus of the Mariinsky Theatre
Valery Gergiev conductor

Demon: Yevgeny Nikitin (bass)
Tamara: Irma Gigolaty (soprano)
Angel: Kristina Kapustinskaya (mezzo-soprano)
Gudal: Gennady Bezzubenkov (bass)
Sinodal: Yevgeny Akimov (tenor)
Messenger: Alexander Timchenko (tenor)
Nanya: Elena Vitman (mezzo-soprano)
Peasant: Grigory Karasev (bass)

名前を聞いたことがあっても作品はあまり聴いたことがない作曲家ですが、いきなりオペラという大曲を聴く機会に恵まれたのは幸いです。音楽的にはロマン主義が濃厚な19世紀音楽そのもので、旋律は美しく、抵抗なく彼の音楽世界に入っていけます。彼の地では何度も演奏しているのでしょう、ゲルギエフは自信に満ちた指揮でこのオペラの魅力を提示してくれました。

あらすじ
神と悪魔はそれぞれの領分を支配、お互いにそれを尊重するという協定下、ある日悪魔は王女タマラを見初めて激しく恋に陥る。彼女にはシノダル王子という婚約者がいて、まさに結婚式のために王子がタマラの居城に向かう旅をしている。悪魔は邪魔者として王子を死なせてしまう。落胆したタマラは修道院に入る。悪魔は修道院に侵入しようとするが天使に阻まれる。しかし、悪魔は天使に対して、これは愛を求めての行動であるからそちらの領分といえども入れるはずだと強引にタマラの部屋に行く。そこで自分の正体を明かしながら切々と恋を打ち明け、自分のものになって欲しい、そうすれば永遠の命と美しい王国があなたのものになると口説くが、タマラはなびきながらも悪魔に身を捧げるということに抵抗があって最終的に拒否し、心労のあまり息絶えてしまう。悪魔は彼女の魂は自分のものと主張するが天使はそれを拒否し、彼女の魂を天国に導く。

荒唐無稽なストーリーですが、それは置いておいて、各歌手にあてがわれたアリアがすばらしく、また例によってマリーンスキーの歌手達の高いレヴェルによって感動的な名唱が歌われて私は釘付け状態でした。

バスのエフゲニー・ニキティンという人は名前は聞いたことがありますが実際に聴くのは今夜が初めてです。そして底知れぬ能力を持った類い希なバス歌手という印象を持ちました。声はとても柔軟で、やや明るめ、低音はもちろんかなり高い音も美しく響かせます。そして巨体を生かしたその圧倒的な声量と迫力ある歌唱は舞台を完全に支配します。特に第3幕でタマラを口説く場面の迫力にはタマラでなくてもたじたじとなるでしょう。

このオペラ、バスは3人も出ますがバリトンはいません。他のバス歌手も声質は異なるもののそれぞれすばらしい水準です。特にグリゴリー・カラセフの重々しい声は印象的です。ロシアにはいいバスはごろごろいるんですね。

ソプラノのイルマ・ギゴラティは昨日のソプラノと違ってこちらはスピント系です。非常に美しく声を響かせる人です。

メゾソプラノのクリスティーナ・カプティンスカヤは昨日も好ましい印象を与えてくれた歌手ですが、今日も天使役にふさわしい美声でした。

テノールのエフゲニー・アキモフも非常に感心した歌手で、この人は明るい声です。従ってイタリアオペラにも向いているでしょう。これだけの歌唱が出来るテノールはあまりいませんから今後国外でも大いに活躍して貰いたい人です。

合唱と管弦楽は昨日と同様今日もすばらしい演奏で文句なしです。

下の写真はバスのYevgeny Nikitinです。
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次はソプラノのIrma GigolatyとテノールのYevgeny Akimovです。
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by dognorah | 2009-02-02 10:06 | オペラ
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