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「ヘンゼルとグレーテル」公演

2008年12月12日、ROHにて。

コヴェントガーデンでは1937年以来71年振りとなる再演が新制作で行われました。

Hänsel und Gretel
Märchenspiel in three acts

Music: Engelbert Humperdinck
Libretto: Adelheid Wette after the fairytale “Hänsel und Gretel” by Jacob Ludwig and Wilhelm Carl Grimm

Director: Moshe Leiser and Patrice Caurier
Set Designs: Christian Fenouillat
Conductor: Colin Davis
The Orchestra of the Royal Opera House

Cast
Hänsel: Angelika Kirchschlager
Gretel: Diana Damrau
Gertrud: Elizabeth Connell
Peter: Thomas Allen
Witch: Anja Silja
Sandman: Pumeza Matshikiza
Dew Fairy: Anita Watson

すばらしい公演でした。フンパーディンクの音楽はかなりヴァーグナーの影響を受けていますが饒舌で多彩、とても魅力的です。コリン・デイヴィスの指揮はそれを余すところ無く表現した圧倒的名演でした。ROHのオケもここまで美しい演奏が出来るんだという事実に、改めて指揮者の力は偉大と思いました。過去の上演を思い起こすとチャールズ・マッケラスが指揮した「カーチャ・カヴァノヴァー」がこれに匹敵する名指揮だったか。

歌手は期待に違わず、ディアナ・ダムラウもアンゲリーカ・キルヒシュラーガーも持ち前の美声がよく出ていたし、演技も立派でした。他の歌手も特に不満はなく、水準の高いものです。魔女役のアニア・シリアは往年の名ソプラノで名前だけは知っていましたが未だに現役なんですね。今年68歳だそうですが、こういう役にはぴったりでしょう。

演出もなかなかよくできたもので、四角いホーンをばっさり切ったような舞台も機能的でメルヘンチックな雰囲気がよく出ています。この公演の前に予習としてMETが今年上演したユーロフスキー指揮の映像を見ましたが、あのグロテスクな演出(Richard Jones)に比べるとこちらの方が遙かに上出来です。
なお、今日はカメラが入っており、DVDが制作されるのですが12月25日にBBC Twoで放送もされるそうです。

下の写真は終了直後のカーテンコールで大歓声に大喜びするDiana DamrauとAngelika Kirchschlagerです。
「ヘンゼルとグレーテル」公演_c0057725_3202041.jpg

その次は、左からAnja Silja、Diana Damrau、Angelika Kirchschlager、Elizabeth Connellです。
「ヘンゼルとグレーテル」公演_c0057725_3205782.jpg

by dognorah | 2008-12-15 03:22 | オペラ | Comments(6)
Commented by 助六 at 2008-12-15 09:30 x
ROHでは71年振りですか。そう言えばパリでも私は数回ぶつかってはいますが、オペラ座は随分長く上演してないようですね。
ダムラウとキルヒーなら歌も舞台姿も素敵でしょうね。しかも脇をシリヤ、コネルという往年のヴァーグナー歌いのヴェテランが固めてるのも嬉しいですね。
10数年前にシャトレがドホナーニ指揮フィルハーモニアで上演した時も、母親がG・ジョーンズ、魔女を巧みなミーメ歌いだったグレアム・クラークが務めていたし、もっと前にはヤノフスキの指揮で、母親をかつてカラヤンのイゾルデだったデルネッシュが歌ってるのを聴いたことがあります。皆性格表現は堂に入ったもので、いつもご苦労様でしたとお礼を申し上げたい気分になったものです。
オケは期待したドホナーニはまあまあで、20数年前名前を知らない指揮者が振ったミュンヘン・オペラのオケがレパートリー上演で聞かせてくれた芳醇で暖かい音色が忘れられません。
Commented by Maintochter at 2008-12-15 21:58 x
アニア・シリアが魔女!!というだけで全く驚いてしまっています。助六様のコメントによれば、デルネシュが母親役を歌ったこともあるとか・・@@
往年のワーグナー歌いのメンバーが、この場において楽しんで歌ってる様子が垣間見え、ちょっと嬉しく思ったりしました!
Commented by dognorah at 2008-12-17 10:06
助六さん、ジャンル的にはちょっとマイナーな感じがするので上演が少ないのはある程度納得できますが、それにしても助六さんは折に触れて見ていらっしゃるんですね。なぜかこの脇役陣は往年のヴァーグナー歌いが多いようですが、やはり音楽にヴァーグナーとの共通性が多いからでしょうか。
Commented by dognorah at 2008-12-17 10:14
Maintochterさんにとっては懐かしい名前が一杯でしょうね。他の公演も調べたらきっと往年のヴァーグナー歌いがいろいろいそうですね。
Commented by amao at 2008-12-21 16:16 x
作曲家フンパーディンクの名前がエンゲルベルトとは知りませんでした(笑)昨日28日公演のスチューデントスタンドバイのメールが来ていたので、先程ROHのHPを一年ぶりに覗いてみました。流石に売り切れていましたが、全般的に低調なんでしょうか?(そういえば円高の為に大相撲ロンドン興行も中止とか) 日本人にはポピュラーなこの童話ですが、果たして英国ではどうなのかなと。そうでもないのなら外国語歌唱のメルヘンオペラには金銭的にも知的にも余裕がないと出向くのは難しいでしょうね。
Commented by dognorah at 2008-12-22 06:01
amaoさん、そういえば同姓同名のポピュラー歌手がいるんですよね。
切符の売れ行きは悪くなかったですよ。71年振りに加えてこの歌手陣ですから。私はもっと安い席を確保したかったのに出来ませんでしたし。学生向けに放出されたのは高いストール席でしょう。
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